身体改造は言語の壁を越えられる
ケロッピー前田さんの著書『トレパネーション・ソースブック』
――インターネットが普及してもまだラグはありますか?
ケロッピー前田:ネット上ではかなりの情報が英語で共有されていますが、英語ができる日本人の数は多くないという問題があります。現在はGoogle Translateなどを使えば、英語の情報も日本語に翻訳して読めます。
でも、身体改造にはカウンターカルチャーという歴史的背景があるから、「このタトゥーかっこいい!」と思っても、その意味はよくわからないということもあります。また、アイボールタトゥー(眼球タトゥー)のような最先端の身体改造の情報は日本で手に入らず、英語の情報も知識がないと理解できません。以前よりもInstagramなどでビジュアルだけはラグなく見られるようになったけれど、それ以外の情報は相変わらずラグはありますよね。
欧米と日本は二項対立ではなくインターネットでつながっています。世界全体が同時進行して、いろんなカルチャーが前に進んでいます。僕個人としては、世界が乗っかっているカルチャーの動きに日本の人たちにも乗っかってもらいたいです。さらに身体改造がおもしろいのは、言語の壁を越えられる手段となることです。言葉が得意でなかったり難しい話が苦手だったりしても、自分の体にそれを施すことによって彼らの仲間に入っていくことができます。
ボディサスペンション
――昔はタトゥーなどが部族間の違いを表していましたが、現代ではその役割が変わったんですね。
ケロッピー前田:『クレイジージャーニー』の最初の取材では、ノルウェーで開催されたボディサスペンション(フックを刺して身体を吊り下げる身体改造)の世界大会「サスコン」に行きました。世界中からサスペンションが好きな100人が集まり、参加者全員を吊り下げました。
サスペンションが初めての人でも、本当にサスペンションに興味があって好きなら参加できます。一方で、上級者は誰もやったことのない新しいサスペンションに挑戦します。そういう人たちが出会う大会です。
『クレイジージャーニー』で取材した翌年、僕は日本人4人を連れてサスコンに行きました。非常に遠くの国から来る人もいました。文化の背景が違う人たちがサスペンションという一つのテーマで集まって、情報交換と体験の共有をすることでカルチャーを育てています。このように、カルチャーのコミュニティは網の目みたいになっています。そこにアクセスする方法が見つかれば、日々がもっと楽しくなると思います。
身体改造をすると、改造している人たちのコミュニティに加われます。このことを通して新しい人間関係を築いたり、新しい情報を得るためのネットワークにつながれたりするので、身体改造は最先端のカウンターカルチャーのパスポートです。『クレイジージャーニー』では、僕自身が海外に行って「こんなことがありました」と紹介し、視聴者も体験的にそれを知ることができます。
【ケロッピー前田 個展】
『Modified_Humans モディファイド・ヒューマンズ』は「
ギャラリー白線」にて絶賛開催中(〜4/9 13:00-20:00)
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-36-14 ハウス白鳥1F-B
身体改造 30年史 写真作品を中心に皮膚標本 (人間)や 穿頭頭蓋骨 (動物)など改造人間 を体感せよ!