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TKO木本は「自分のことを語らない」。密着取材した作家が語る“転落を招いた原因”

「弱いところを他人に見せない」木本氏

——浜口さんはこの手の事実をもとにした小説を書くのは初めてだったんじゃないですか? 浜口:初めてですね。でも、面白かったですよ。僕は放送作家をやっていた頃にもTKOさんにゲストとして番組に来てもらっていて、TKOの歴史を振り返るような企画もやったことがあったので、お二人のこれまでの歴史はある程度知ってるつもりだったんです。でも、いざじっくり話を聞いてみたら、全然知らなかったような話もめちゃくちゃ出てきたんですよね。 木本さんが知らなかった木下さんの話とか、その逆もいっぱいあって。こうやって掘り返さないと出てこないようなことがたくさんあるんだなと思いました。 あと、木本さんってあまり自分のことを語らないというか、弱いところを他人に見せない人なので、身近の人でも知らなかったような話が結構多かったです。

武士道みたいな価値観で生きている

——そこがこの本の中でも1つの重要なテーマになってますよね。木本さんが周りの人に何も語りたがらないところがトラブルを深刻化させてしまった側面もある、っていう。 浜口:そうなんですよ。最初の頃に木下さんがポロっと「木本武宏の武は武士の武なんです」と言ったことがあって。そのときには正直、何のことかよくわからなかったんですね。 でも、その後でいろいろ話を聞いてみたら、木本さんって本当に侍なんだな、武士道みたいな価値観で生きている方なんだな、と思ったんです。弱みを見せないとか、多くを語らないとか、黙って自分で全部背負うとか。だから、木下さんのその発言も、実は本質を突いていたんだなと思いました。
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“普通の人の感覚”とは違う
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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