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TKO木本は「自分のことを語らない」。密着取材した作家が語る“転落を招いた原因”

“普通の人の感覚”とは違う

——話が飛びますけど、木本さんの投資トラブルの件が問題になったときに、木本さんは自分が儲けていないにもかかわらず、自分を通して出資をした人に自腹で弁償するつもりだと話していたじゃないですか。 でも、普通に考えると、自分が投資先を紹介することで儲けてもいないのに、その責任を取って自分がお金を払うっていうのは不自然ですよね。だから、やっぱり中抜きをしていたんじゃないかと思われて、批判されたりしていましたよね。 浜口:そうそう、「じゃあ、なんでそんなことするの?」ってなるんですよね。普通の人の感覚だったら。 ——でも、この本を読んで、木本さんの性格的なことがわかってきたら「本当にそういう人だったんだ」って思えるんですよね。良くも悪くも木本さんが自分のことを語ろうとしないから、世間では相当誤解されているところもありますよね。 浜口:そう、だからそこは投資トラブルの件だけを書いても理解できないんですよね。この本では木本さんの今までのことを一人称でつづりました。全部読むことで初めてわかってもらえるところもあると思います。

なぜ木本氏の一人称だったのか

——TKOのお二人が主役の本なので、それぞれの一人称で書くか、客観的な目線の三人称で書くか、というのが一般的ではないかと思うのですが、この本は木本さんの一人称で統一されていますね。そのようにした理由は何ですか? 浜口:そこは悩んだんですけど、お二人の話を聞いているうちに、木下さん側の視点では書かない方が面白いんじゃないかな、というのがわかってきたんです。木下さんは、ボケとツッコミで分けるとボケだと思うんですけど、ツッコミの方が一般人に近い感覚で共感しやすいというのもあって、木本さんの視点で書いた方がいいのかな、って。 あと、実際に話を聞いてみると、木本さんと僕の感覚が割と近かったんですよね。だから、これだったらたぶん木本さんの感情に自分の感情を乗っけて書けるなというのがあったので、木本さんの一人称で書くことにしました。 ——なるほど。たしかにこの本を読んでいると、木下さんってご自分が意図しないところに面白さがある天才肌の人だから、ご本人の立場で書かない方が面白さが引き立つのかもしれないですね。ホームズとワトソンみたいな関係というか。 浜口:そうですね。まさにそんな感じです。
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「内面を見せない人」からどう話を引き出すか
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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