エンタメ

TKO木本は「自分のことを語らない」。密着取材した作家が語る“転落を招いた原因”

あえてフィクションにした理由

——この本は事実をもとにしていますが、あくまでもフィクションとして書かれているじゃないですか。あえてそういう書き方をするメリットもありますよね。 浜口:そうですね。本当はそんなにちゃんとしゃべってはいないんだけど、たぶん木本さんだったらこう言うだろうな、っていう感じで会話のシーンを入れて、テンポを良くしたりはしてます。 あと、投資トラブルの話とかは、実名は出せないし、個人が特定されるようなことも書けないから、詳しいところには触れられなかったんですよね。だから、要素だけを切り抜いてキャラクターを作ったりはしています。

「小さいことの積み重ね」が転落を招いた

——でも一方では、事実に基づいているからこそ、作家が自分の頭で考えるだけでは思いつかないような生々しくリアリティがある描写もありますよね。 浜口:そうですね。フィクションでは、何か事件があってそれが解決されたら、そのことがきっかけで主人公の性格や生き方が変わったりするじゃないですか。でも、現実にはそういうことはなくて、何も変わらないままだったりする。そういうところがリアルだなと思いました。 あと、お二人がパワハラ事件と投資詐欺事件でちょっとずつ失敗していって、転落していくことになるんですけど、明確にここが悪かったというポイントはないんですよね。これさえやらなければ良かった、というような一個の原因はなくて、小さいのが積み重なって積み重なって、いつの間にか取り返しのつかないことになっている。現実はそういうものなんだな、と思いました。
次のページ
芸能人は運に左右されている
1
2
3
4
5
6
お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ