ニュース

日本がアジア太平洋で自由主義陣営を支えなくて、誰が支える?/倉山満

今の尹錫悦韓国大統領は真人間と評して良い

 こうした状況の中で、日韓関係の改善もある。もしかしたら劇的に改善するかもしれない。今の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、全斗煥(チョン・ドゥファン)以来40年ぶりの真人間と評して良いからだ。というか、その間がひどすぎた。「一線を越えた反日」と「極端な反日」のどちらかの大統領しかいなかった。  最近は、支持率が下がると歴史問題を持ち出し、国内向けのパフォーマンスに走り、日本から金をせびる。その都度、日本が甘やかしてきた。  しかし、前任の文在寅(ムン・ジェイン)があまりにもやらかした。側近の法務長官が、本人の年齢詐称・妻の私文書偽造・娘の裏口入学・息子の徴兵逃れ、などなど次から次へと疑惑が噴出、大スキャンダルとなった。  こうした中で、政権の政治圧力に一時は屈しながらも、大統領選挙に出馬して当選したのが、尹錫悦だ。

尹大統領の抱える二つの課題

 尹大統領が、どれほど真人間か。  その一。検察官なのに自由主義経済を信奉している。たいてい、法律センスと経済センスは両立しえない。あまりにも発想が逆で、どちらかの素養がもう一方の習得を阻害するからだ。ところが尹は例外だ。父親が韓国では高名な経済学者らしいが。  その二。政治家経験が一度も無い。だから素人を自覚。安全保障は専門家に任せる。その任せる相手を間違えない。  その三。現実主義者である。韓国はアメリカのみならず日本と組むしかないと理解している。反日しか生きのこれない韓国で生き残った、真人間の代表が尹なのだ。  その尹大統領には二つ課題がある。一つが、前政権までに軍や情報機関に入り込んだ北朝鮮のスパイのあぶり出しだ。もう一つが、来年に行われる国会選挙だ。今は国会が野党多数なので、できることは限られている。だから選挙で勝たねばならない。  日本が交渉相手として信じるのは、そこからだ。  さて、我々はどうする? “ソコソコ”上手くやるのか、それとも目指す理想を持つか。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

噓だらけの日本古代史噓だらけの日本古代史

ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作は、日本の神話から平安時代までの嘘を暴く!

1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ