第二の理由。もしかしたら、立憲民主党が野党第一党から滑り落ちるかもしれない。 　思えば、日本社会党、民主党、民進党、そして立憲民主党と、歴代野党第一党が、自民党の勝利にどれほど貢献してきたか。大多数の国民は、どんなに自民党の腐敗と無能に不満があろうとも、「まさかパヨク政党に政権を渡す訳にはいかない」との良識を持つ。結果、自民党は政権に居座り、さらなる腐敗と無能を加速させる。 　総選挙が行われたら、日本維新の会が躍進して、野党第一党の座を占めるかもしれない。一気に保守二大政党制とまではいかなくても、保守1・5大政党制まではいけるかもしれない。仮に、今回の総選挙で維新が準備不足で伸び悩んでも、候補者を立てさえすれば、その次の総選挙まで地盤を構築できる。そうなると、一気に政権交代もありえる。 　別に、維新の躍進や政権奪取を何が何でも望んでいる訳ではない。マトモな選択肢が二つ以上欲しいだけだ。マトモな政権選択が二つあれば、別に維新でなくてもいいし、何が何でも自民党を引きずりおろしたい訳ではない。むしろ、マトモな野党が出てきて政権を失いそうになった時の改革能力に関し、自民党は世界一だ。政権を失いそうな時の自民党は全員があらゆるわがままを封印するし、普段は絶対になれないような人を総理総裁にして選挙に臨む。 　マトモな野党第一党の登場こそが、憲政の浄化なのだ。 　第三の理由は、衆議院選挙が終われば、細田博之衆議院議長が交代すると目されている。週刊誌などで報じられている通り、細田議長は、何とかハラスメントの常習犯と思われている。衆議院議長が行う最も重要な仕事は皇位継承問題だが、そのような人が議長で事が運ぶのか。大島理森前議長は、共産党まで含めて合意して、上皇陛下の譲位を実現した。今回は皇位継承問題であり、イデオロギー対立を防ぐのは至難である。だからこそ、政治力のある衆議院議長が丁寧に進めねばならない。 　第四の理由は、皇位継承問題の進展だ。仮に立民が野党第一党から滑り落ち、たとえば維新（国民民主党でもいいが、可能性は低い）が代わったとする。自民とマトモな野党第一党の二大政党で、マトモな皇位継承論議を進めればいい。立憲共産党が何を言おうが、「まあ話は聞いてやる」で良い。皇室の問題で、かつての安保法制のような国論を二分するような対立を起こさなければそれでいい。 　立憲民主党の泉健太代表は、皇室の問題で訳の分からないことを言う党内の勢力をよく抑えている。しかし、そこが限界だ。野党にこそ必要なのは、政界再編であり、泉健太のような真人間を看板に掲げているから、かえって立憲民主党内に巣くう訳の分からない勢力の延命になっているのではないか。