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岸田首相は「好きに増税して良い」とでも思っているのか?/倉山満

黄金の3年間は何処へ

 などと、もし本当に選挙になれば、他人行儀で眺めているばかりにもいかない。  岸田文雄首相には、一つ懸念がある。昨年の夏、参議院選挙に勝利した。そう言えば、「これで国政選挙を行わなくていい、安定政権になる黄金の3年間を得た」などと言われたが、あれは何処へ行ったのか。  それはともかく、秋に防衛増税論議が飛び出した時、岸田首相は選挙で公約にしなかったにもかかわらず、話を進めた。景気は回復しているのだから、別に増税などしなくても、財源はある。  そもそも、徴税とは「国家権力によって正当化されたカツアゲ」である。洋の東西を問わない。たとえば、『聖書』を見よ。徴税人とは悪人の見本として登場し、「徴税人でも天国へ行けますか」などの会話が平気で登場する。

岸田首相は好きに増税して良いとでも思っているのか

 それが近代になり、「代表なくして課税なし」の原則が生まれた。もし権力者が新たに税を課す、あるいは増税をしたければ、選挙で選ばれた議会の代表の承認を得なければならない、との考え方だ。国民の財産を徴税したければ、選挙によって事前に公約しなければならない、との原則だ。  岸田首相は、選挙によって白紙委任を得た総理大臣は、好きな時に増税して良いとでも思っているのか。選挙など何回やっても自民党が勝つに決まっているのだから、国民に信を問う必要はないとでも勘違いしているのではないか。そもそも、今回の解散風も、勝てると思えばやる、負けると思えばやらない、好き勝手やっても、どうせ自民党しか選択肢がないと思っていないか。  政治を弛緩させるか緊張させるか、有権者の当事者意識次第だ。 ※この原稿は6月13日に発売された『週刊SPA!6/20・27合併号』に掲載されたものです。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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