「外国人はどう読む?」日経新聞現役デスクが教える「情報の読み方で勝つ」方法
株式市場が盛り上がっている。あわよくば資産を増やそうと考える人も多いと思うが、株式投資に役立つ新聞と言えば日本経済新聞だ。しかし「記事の本数が多すぎる」「どこに何が載っているかわからない」という声も多い。そこで投資家目線で、効率的な日経新聞の読み方を現役の日経新聞で株価を担当デスクに打診。日経新聞はさまざまな企業情報を扱い、株価に大きな影響を与える可能性があるため、今回は匿名を条件に特別解説してもらった。
日経新聞の朝刊は32~48ページほどだが、投資家が必ず読むべき面はそのなかの3ページだけだ。まずは真ん中辺りに位置する「マーケット総合面」。その少し前辺りにある「投資情報面」と「マーケットデータ面」、この3ページを読む習慣をつけておきたい。
「新聞は1面から読むもの」というイメージが強いかもしれないが、最近の日経新聞では株価を動かすような企業のニュースが1面に掲載されることは少ない。さらに1面に掲載されるような大ニュースは即座に株価に織り込まれてしまう。ビジネスパーソンとしての知識のインプットと、投資家の情報収集とでは新聞の読み方も違ってくる、と覚えておこう。
では、具体的にそれぞれの面について解説しよう。
まず「マーケット総合面」。この面には株式や為替などのマーケットに関する記事が掲載される。最も注目すべきは火・木・土曜日の週3回掲載されるコラム「スクランブル」だ。
株式市場の取材を専門とする記者や編集委員が書く署名入りコラムで、需給分析や業界もの、IPOやM&Aなど、その時々の旬の話題が盛り込まれる。マーケット関係者の間でも注目度が高いコラムで、長年読み続けている固定ファンも多い。文末の署名を見て「この記者の分析は信用できる」と判断するという「指名買い」をするコアな読者もいるという。ちなみに、水・金曜日には主に為替・債券市場を取り上げる「ポジション」が掲載される。
紙面の右下に毎日掲載される「銘柄診断」は毎回1つの銘柄を取り上げるコラムで、その日の値動きが大きかった銘柄がピックアップされることが多い。なかなか個人投資家の目に留まらないような「シブい」銘柄が取り上げられることもあるので、注意してみておきたい。夕刊には同じコンセプトの「話題の株」が掲載されている。
続いて「投資情報面」。マーケット総合面との違いは、企業が主体となる投資家向けの記事や情報が掲載される点だ。具体的には決算発表や業績予想の上方修正・下方修正、増配や自社株買いといった株主還元などだ。
紙の新聞の利点は一覧性が高いところ。特に投資情報面は「〇%増益」「最高益」「〇%減益」といった見出しを眺めているだけで、どの企業が調子が良くて、どの企業が調子が悪いのか、という情報をまとめて頭に入れることができる。
個別企業の決算内容を詳細に分析するためにはIR(投資家向け広報)資料や決算短信を読むのが王道だが、1社1社について調べるのは大変だ。その点、新聞に載る決算記事は読みやすく要約されており、情報収集の効率も良い。記事を読んで気になった企業はIR資料を調べる、という習慣をつければ情報収集の効率もアップするだろう。
なお、四半期ごとの決算発表のピーク時には投資情報面が2枚に増え、それぞれの面に数十社の決算記事が掲載される。トヨタ自動車やソフトバンクグループなど有力企業の決算記事は、1面などに掲載されることもあるので注意が必要だ。
実は1面から読まなくていい日経新聞
「投資情報面」で気になる企業を健康診断
1
2
この特集の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ