更新日:2023年11月15日 20:06
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『アメリ』を「間違えて」買い付けた56歳の映画プロデューサーが“余命半年”のいま語る、映画業界に残した功績

未払い先200社に借金を返済する日々

――叶井さんが踏み倒したせいで未払いになった人たちに対して、国は国選弁護士などを準備して支援をしてくれたんですか? 叶井:例えば俺の会社に資産が500万円あったとしたら、未払いにしてしまった100〜200社近くの会社に、未払いが多かった順に分配率を弁護士が計算して、それを配分して返していくんだ。 ――でも、そのときは赤字だったんですよね? 資金は残っていたんですか? 叶井:多少あったんじゃない? 数十万円ぐらい。当時は未払い1000万円の会社に対して「支払い計画書」を提出して、毎月1000円ずつ返していたんだ。 ――1000円……? 叶井:だから、返済が遅れて「1000円が振り込まれていません!」という電話がかかったこともあったよ。それで2000円振り込んだら「多めに振り込んでいただいて、ありがとうございます!」と喜ばれたね。

入院時はツラくて病室で首を吊りかけた

叶井俊太郎――「婦人公論.jp」の倉田氏のインタビューでは、今年に入ってから「胆管炎の可能性がある」ということで、胆汁を外に出す手術を受けたそうですが、あまりの辛さに何度も自殺をされかけたそうですが、それは本当なんですか? 叶井:本当です。お腹に管を通して、その管から胆汁を出す手術を受けたんだ。だけど、管の位置がズレてはいけないから、24時間ずっと同じ姿勢で座る必要があって、横になれなかったんだ。 ――その間、ずっと痛みが走っているということですか? 叶井:そう。24時間も激痛が続くと、やっぱりメンタルがおかしくなっちゃって、「この激痛から逃れるには死しかないな」と思ってしまったんだ。何度も病室で首吊りの練習をしていたんだけど、すぐに看護師5〜6人がかりで止められてさ。挙句の果てには監視カメラを入れられちゃったよ。
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もう2度と入院はしたくない
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編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある
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