仕事

営業マンなのに「毎日100km」運転するだけの日々。交渉にも参加させてくれない上司が放った“最悪な一言”

―[モンスター上司]―
 採用試験の時に、憧れの職業になれると信じ、入社したら、まったく違っていた。しかも、毎日100キロを運転するだけ。疲労で全身が痛み、疲れきってしまい、転職活動はできない。辞めたいが、生活のためにもできない。あなたが、その社員ならばどうするかー。
運転手

※画像はイメージです

 今回は実際に起きた事例をもとに、職場で起きた問題への対処法について考えたい。本記事の前半で具体的な事例を、後半で人事の専門家の解決策を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。

2流大学の自分をなぜコンサル会社に?

 都内をはじめ、北関東(群馬、栃木、茨城)までをエリアとするコインランドリー・チェーン店を運営するコンサルティング会社(正社員150人規模)に勤務する佐倉智成さん(仮名・26歳)。  営業マンとして、1日平均100キロを車で運転する。3年前の新卒採用時は、「ベンチャーのコンサルティング会社」「ソリューション営業に関わる」と聞かされ、入社した。「2流大学の自分をなぜ、コンサルティング会社が採用したのだろう」と、多少の疑問はあった。  不安は、的中した。営業の仕事の1つは、既存のコインランドリー店70店舗を回り、お客がお金を入れる機械から売上を回収し、郵便局へ行き、会社の口座に入金すること。もうひとつは、新たに店をオープンする地域の不動産会社やビルのオーナーと交渉をすること。  この2つをするために、佐倉は自腹を切って購入した中古の車で毎日運転する。社用車は、貸してもらえない。運転席の横には、上司である部長や課長、先輩である30代の社員数人が日替わりで乗る。

「お前はタクシーの運転手ができるな」

 交渉などは、すべて部長と課長が話す。佐倉は、黙って横に座るのみ。新卒で入り、この3年間、一切、話をさせてもらえない。ひたすら、運転をするだけ。部長と課長は、「余計なことは交渉相手に話すな」と繰り返し言う。交渉に失敗すると、店が開店できないために莫大な損害になることや、新たな交渉先は簡単には見つからないからという。  管理職である自分たちのノルマにも悪影響が出ることを警戒しているらしい。会社は、徹底した成果・実績主義の人事制度だ。佐倉は、運転だけをする日々だ。1日100キロ運転して車を降りると、ひざがガタガタきて、歩けない時がある。慢性的に腰と背中が痛い。上司からは「お前はタクシーの運転手ができるな」とからかわれる。  こんなことをしていていいのだろうかと考えるものの、転職先がない。そんな時間も心の余裕もない。家に帰れば慢性的に疲れているから、寝るだけなのだ。
次のページ
キャリアのプロが出した“答え”とは?
1
2
3
ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
記事一覧へ
おすすめ記事