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“40歳で余命宣告を受けたラッパー”が戦い続ける理由「残り時間があまりない」

YouTubeで4時間喋る回も。長時間の動画をアップする理由

――そもそも政治や社会について考えるゆとりがないという日本人も根本的に多いような気もします。 ダースレイダー:本当に世の中忙しすぎるというのはありますよね。時間に余裕ができるために早く便利な社会になってきたのに、なんか逆なことになっているなと。ただ、ゆくゆくは人間のやることがなくなるんじゃないかなと個人的には思っていますけどね。AIも含めてテクノロジーのスピード感に人間がついていくのも限界がありますから。そこで諦めてふと暇になった時に備えて、ボンヤリとものを考えるための道筋をいま自分の動画でつけている感じです。 ――ライブ配信のアーカイブだと、町山智浩さんと4時間くらい喋っているような回もありますし、1本1本のYouTube動画が基本的に長丁場ですよね。 ダースレイダー:僕のYouTube動画ってゆっくり暖炉の前で座って2時間ぐらい人と喋っているイメージも個人的には持っているんですけど。いわゆるYouTubeの視聴者数を増やすための正攻法的とは全然違うレースをやっています。それこそコロナ禍みたいなことで急に時間が空いたとき、TikTokみたいなショート動画とは違う時間の過ごし方を提案する人が世の中にいたほうがいいと思ってやっていますね。僕の場合はメインストリームに対するオルタナティブという立ち位置でもあるので。

「間違えました」というコミュニケーションが大事

ダースレイダー:なので、僕のYouTube動画はリアルタイムで追えなくても全然構いません。ずっと熱心に追いかけてくれる方もたくさんいますが、そこは巡り合いのタイミングだったりもする。ただ、僕にとって大切なのはいつでも再生できるようにアーカイブとして記録を残しておくことなんです。実際、後から振り返るようなかたちで、しばらく時間が経って、社会情勢が変化してからのほうがよく理解できるような話もたくさんあるので。 ――ただ、記録を残していると自分の間違いも含めてそのまま残ってしまうということもあると思うんですが、なかなか勇気のいることなのでは? ダースレイダー:みんな間違えることを恐れすぎている問題もあるなと思っています。別に会話とかってもっと自由でいいと思うし、「間違えました」ってコミュニケーションがけっこう大事なのかなと。あの時の情報や状況ではこう判断しましたという記録自体が大切だろうし、後から考え方などが変わることも普通にあるだろうってぐらいの感覚です。 だいたい僕なんて病気の向き合い方も間違えていますから(笑)。自分の都合のいいように「疲れているだけだろう」「少し休めば治るだろう」という考えで、病院へ全然行かなかったら、えらい目に遭いましたという話ですからね、基本。でも、どうしても人間はそういう心理になるもんだと、知っておくことが大事なのかなと。
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「来年が来るのが当たり前」とは考えていない
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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