やりたい企画ができないときにはどう考える?(ミュージシャン/矢野顕子)
「超個性派シンガーソングライター」と表現されることもある、ミュージシャンの矢野顕子。
独創的な歌声で優しい世界観を創り上げる――そんな矢野ワールドに魅せられた一人が、アーティストで俳優の「のん」だ。矢野への憧れをこう語っている。
「歌声、曲、ピアノの演奏だけでなく女王様のような存在感も、矢野さんの全部が好きでどうしてもお会いしたかった」
その願いは、2017年に刊行したフォトブック『創作あーちすとNON』(太田出版)の企画で実現する。
「どうやったら、やりたいことを貫いている矢野さんのようになれるのですか?」と尋ねたときに、矢野から返ってきたのが、次の言葉である。
「
好きなことをやり続けたら、まわりがあきらめてくれるのよ」*3
自分にやりたいことがあり、誰かに認めてもらう必要があるとき、人はどうしても相手を説得しようとする。しかし、価値観は人それぞれで、意見を変えさせるのは簡単ではない。説得を重ねているうちに、つい苛立ちを覚えてしまうことも……。
「説得する」のではなく「やり続けてあきらめてもらう」という矢野の「神回答」は、まさに発想の転換だ。のんもこう感服している。
「こんな言葉は矢野さんからしか聞いたことがない。かっこいいなと思いましたね。余計なことを考えずに、シンプルにやりたいことをやろうと思うようになりました」
説得せずとも許される範囲で、まずは小さな一歩を踏み出そう。相手の意見を変えることよりも、自分の「やりたい」という気持ちをより高めていこうではないか。
〔
神回答ポイント〕
偉人のナイチンゲールは、裕福な家に生まれたため、看護師になることを猛反対されたが、病院見学を積み重ねて、両親をまさに「あきらめさせた」。まずは小さな行動から。
さまざまな効果を持つ「神回答」を日々に取り入れよう
この記事では、「視野が広がる神回答」「人間関係を円滑にする神回答」「心が奮い立つ神回答」を一つずつ、ご紹介した。
『
「神回答」大全 人生のピンチを乗り切る著名人の最強アンサー100』では、そのほかに「心がスッと楽になる」「相手に寄り添う」「雰囲気を解きほぐす」「切り返しで相手を圧倒する」「相手のイメージを膨らませる」といった効果別に分類して、神回答を収載している。言葉一つで、物事のとらえ方が変わり、人生の風景が変わることがある。本書を活用して、どんな状況も受け入れながら、前向きに生きる術を身につけてもらえればうれしく思う。
*1:「『生きてること』と『最後は死ぬこと』はあまり関係ない【カズレーザーコメント返し】」(ユーチューブチャンネル カズレーザーの50点塾、2022年9月10日)
*2:「ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマーのスキャンダルに言及『長く話すべきこと』」(倉若太一著、Real Sound、2021年10月12日)
*3:「のんさんがどうしても矢野顕子さんに聞いてみたかったこと」(斉藤勝寿著、朝日新聞、2022年10月30日)
<文/真山知幸>
伝記作家、偉人研究家、名言収集家。1979年兵庫県生まれ。同志社大学卒。業界誌編集長を経て、2020年に独立して執筆業に専念。『偉人名言迷言事典』『
逃げまくった文豪たち』『10分で世界が広がる 15人の偉人のおはなし』『
賢者に学ぶ、「心が折れない」生き方』など著作多数。『ざんねんな偉人伝』『ざんねんな歴史人物』は累計20万部を突破し、ベストセラーとなっている。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義、宮崎大学公開講座などで講師活動も行う。最新刊は『
「神回答」大全 人生のピンチを乗り切る著名人の最強アンサー100』。