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『RIZIN』手越祐也の騒動で振り返る「国歌独唱」の難しさ。過去には数多くの有名歌手が“大コケ”

『RIZIN』手越祐也の国歌独唱が取りやめに

 7月28日にさいたまスーパーアリーナで行われる格闘技イベント『超RIZIN. 3』。メインイベントの朝倉未来VS平本蓮の試合前に手越祐也の国歌独唱が予定されていましたが、朝倉、平本両選手からクレームがあり、 手越との話し合いを経て運営が取りやめを発表しました。SNSなどで手越に対する誹謗中傷のメッセージが大量に送りつけられる事態を受けての対応とのこと。  RIZINサイドからのオファーを受けただけなのにとんだ目にあってしまった手越ですが、もしかすると怪我の功名で命拾いしたと言えるかもしれません。  過去を振り返るとスポーツイベントでの国歌独唱がうまくいった試しがほとんどないからです。

スポーツイベントでの国歌独唱は難しい?

 最近では、メジャーリーグのオールスターゲームでのホームランダービーが記憶に新しいところです。4度グラミー賞にノミネートされたアメリカのカントリー歌手、イングリッド・アンドレスによるアメリカ国歌は悲惨を極めました。  歌い出しから怪しげな音程でふらついては、低い音でプツッと切れる。そして聞かせどころの高音で事件は起こります。フレーズの途中でキーが変わってしまうほどに音が外れ、声はいまにも裏返りそう。泣きながらケンカしているような歌唱だったのです。  これにはメジャーリーガーたちも困惑した様子で、なかには笑いをこらえている選手すらいる始末。2018年のNBAオールスターゲームでのファーギーを抑えて、史上最悪の国歌独唱との声も聞こえてきます。ハフィントンポストも、混迷を極める大統領選、強烈な熱波と新型コロナに再び苦しむアメリカの現状にぴったりな歌唱だった、と皮肉を言うのが精一杯でした。  この後、アンドレスは泥酔した状態で歌っていたと告白し、治療を受けることを発表しました。いずれにせよ、最もバズった瞬間がキャリア最悪のパフォーマンスという不幸だったのです。
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堀内孝雄、コブクロ小渕…日本の歌手も
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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