Juice=Juiceが個性と実力を遺憾なく発揮したステージを披露
―[TIF2024]―
ハロー!プロジェクト所属のアイドルグループ・Juice=Juiceが8月4日、お台場・青海周辺エリアで行われた世界最大のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024 supported by にしたんクリニック」(以下、TIF2024)の最終日に出演。全6曲を熱唱し、会場を湧かせた。
メンバーカラーを用いながらも一人ひとりにあわせてデザインの異なる、個性を引き立たせる衣装で登場。そのまま待ちわびているファンを見越したかのように「「ひとりで生きられそう」ってそれってねぇ、褒めているの?」を披露。MVの再生回数が900万PVを超えるなど、彼女たちの代表曲をいきなり一曲目にぶち込んできた。歌唱力に着目されるこの多いJuice=Juiceだけあり、メンバーそれぞれのソロパートも豊富に聞かせてくれる。圧巻は段原瑠々、江端妃咲、有澤一華、工藤由愛、遠藤彩加里、松永里愛とつないだソロパートだ。決して派手ではないものの、それにシンクロするように腕を使った振りや腰、足のステップなどでそれぞれの立ち位置からシンクロ率の高いダンスを見せてファンたちをうならせた。
続けて「ナイモノラブ」を披露。メンバーの江端妃咲は8月2日、「めざましテレビ」内のTIFとのコラボコーナー「イマドキ」にJuice=Juiceを代表して出演したばかりだが、曲の冒頭からそんな江端妃咲のパートにあわせて「きさき」コールが起こる。続けて遠藤彩加里がステージ上手後方から下手前方にさっそうと歩いてソロパートを歌唱する場面で「あーたん」コールの大合唱。軽快なダンスで盛り上げようとするアイドルが多いなか、ダンスの振りの一つひとつを丁寧に重ねて歌詞の世界観を表現する姿に、結成11年の歴史と風格を感じさせた。
MCに移ると段原瑠々が簡単に挨拶を行い、石山咲良が挨拶。その後、工藤由愛が客席をあおると「禁断少女」のイントロが流れ、客席からは「きゃー!」という悲鳴にも近い歓声があがった。サビでは「禁断少女」というフレーズを歌うリズムにあわせて上半身をのけ反らせるような振付が見られたが、センターに立った工藤由愛はMCで煽っただけあり誰よりも身体をのけ反らせたダンスを披露し、そのままソロパートを力強く披露すると、ハロプロでも随一の歌唱力を誇る段原瑠々へとソロのバトンを渡し、二人のソロ歌唱を聞いたファンたちからは「おおー!!!」という歓声が上がった。
そのまま畳みかけるように「生まれたてのBaby Love」「ポップミュージック」を披露。「ポップミュージック」はKANによる同名同曲のカヴァー曲で、ライブでは最後にも披露されることもある多幸感ある一曲だ。それまで「聞かせる」楽曲で展開してきたが一転してポップな曲調に。「初めて聴いたのに妙に懐かしくて」「陽気なメロディがなんか切なくて」という歌詞にもあるよう、やや昭和レトロな雰囲気も漂う。サビの「ポッポッポッ!」という嫌でも耳に馴染むフレーズにあわせて手を「パッパッパッ」と開いて見せたり、くるくるさせたり、はたまた鳩が「ポッポッポッ」と鳴いているようなダンスを見せたりと、ほんの数分前までその歌唱力で「無双」していたメンバーたちとは思えないほど愛くるしい表情を見せてくれた。
ファンたちも思わず身体を揺らしたくなるような展開に、まるで会場がダンスホールのような楽しさ溢れる会場へと変化していくのを感じさせた。気づけば炎天下を生み出していた日差しはオレンジの色味を帯びて夕陽へと変わり始めており、ちょうど段原瑠々のソロが披露されると、少し気温が落ち着いた会場に違う表情を見せて響き渡っていた。曲もクライマックスに差し掛かると「ちゅるちゅるぷにゅタピオカミルクティ」というクスッとする歌詞を、やはり歌唱力に定評のある井上玲音が全力熱唱。そのまま曲がフェードアウトすると思ったら、最後に会場に設置された大型モニターに工藤由愛と松永里愛のふたりがそれぞれ映し出され、「ゆめりあい」ふたりのデビュー曲を盛り上げるような粋な演出が行われた。
続けて現リーダーの段原瑠々の代名詞ともいえる「Fiesta!Fiesta!」に。ライブ会場でも必ず盛り上がる同曲の登場にファンたちの熱気も最高潮に達する。ダンスも「情熱のフラメンコ」を連想させる振付になっており、間奏では松永里愛と段原瑠々がそれぞれ「ソロダンス」を見せつけた。コールの声もひときわ大きくなり、メンバーの名前を叫ぶのはもちろん、「Fiesta!Fiesta!」という歌詞を一緒に歌うのが定番となっている場面では、余力など残すものかと腹の底からコールするファンたちで溢れ、Juice=Juiceのステージは幕を閉じた。
それまでの軽快なアップテンポで攻めるアイドルが多かったHOT STAGEの雰囲気をガラッと変えてくれたJuice=Juice。とくに最近のJuice=Juiceは歌唱パートを担当するメンバーが刻一刻と変化しているが、それはどのメンバーも歌唱力が進化しているからなのだろうと、またJuice=Juiceへの信頼が深くなるステージを見せてくれた。
セットリスト
1. 「ひとりで生きられそう」ってそれってねぇ、褒めているの?
2. ナイモノラブ
3. 禁断少女
4. 生まれたてのBaby Love
5. ポップミュージック
6. Fiesta!Fiesta!
取材・文/綿谷翔 撮影/山川修一
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