仕事

毎月“80時間以上”残業する教員たち。文科省の「50年ぶり給与上乗せ」も根本的解決にならない理由

毎月80時間の残業では授業の質を保てない

授業 私も経験が浅いころは、月の残業時間が60時間や80時間になることはよくありました。管理職からは「早く帰ろう!」と言われましたが、業務が減らないので早く帰るのは無理でした。  タイムカードで勤務時間を管理するようになってからは、月80時間を超える人は管理職と面談をしなければならなくなったので、タイムカードを切り退勤したということにして、さらに仕事をしている人もいました。  どんなにタフな教員でも、毎月80時間もの残業をしていたらさすがに疲れてしまいます。教員が疲れ果ててしまうと、子どもたちに対して質の高い教育を提供することは難しく、最終的には子どもたちの学習環境にも悪影響が出てしまいます。  また、このような労働環境がSNSなどで拡散され、教員志望者は激減。教員不足が深刻化する中、今後の教育現場を担う人材の確保がますます難しくなっているのが現状です。

教職調整額が上がっても根本的な解決にならない

 半世紀以上そのままだった給特法に動きがあったのは2024年4月。教職調整額が4%から10%に引き上がるかも知れないと話題になりました。さらに2024年8月、教員志望者の確保のため、文科省は、教職調整額を現行の4%から13%に引き上げる方針であると公開しました。  4%から13%というと、かなり大きな変化のように思えますが、基本給30万円の教員の場合、4%は12000円、13%は39000円です。  教職調整額13%が実現したとしても、39000円で「働かせ放題」なのは変わりません。教員の「定額働かせ放題」問題を解決するためには、給特法を撤廃し、適正な残業代を払う制度に変えていく必要がありますが、文科省はなかなか踏み切れないようです。  教育現場で働く教員のために、未来を担う子どもたちのために、社会全体でこの問題に取り組む必要があります。教員の労働環境の改善に向けた動きが加速することを期待します。 <文・あや>
勤続10年の元小学校教員で、現在は民間企業人事部に勤める。会社員・副業ブロガー・Webライターの三刀流で働きながら、教員の転職・副業・働き方改革について発信中。「がんばる先生を幸せにする」のがモットー。X(旧Twitter):@teach_happiness
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