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「文化遺産」として見直される昭和の都電。「アニメの聖地」や「渋沢ゆかりの地」などに残る都電の今を追う

東京都交通局 都電荒川車庫/6086号(荒川車庫前)

 都電荒川車庫にはもう1台、昭和の都電がそのままの姿で保存されている。それは6000形6086号。この車両は1949年に製造されて戦後の復興を支え、23区内ほとんどの車庫を渡り歩いたのち1978年に荒川車庫で廃車、その後は個人が保存していたものだ。  一度は解体が検討されたというものの、鉄道博物館学芸員の故・岸由一郎氏らの尽力により2008年に荒川車庫に里帰りし、現在は車庫公開日など不定期に公開されている。保存車両は運搬するだけでも多額の費用と手間がかかることもあり、このように個人が遠方で保存していた都電が車庫に「里帰り」したのはこの6086号が唯一だ。  6086号は、公開日以外の日でも敷地外から見やすい車庫の一番西寄りの電留線に停車していることが多い。荒川車庫の近くを訪れた際に覗いてみてはどうだろうか。
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6086号。2008年に荒川車庫に里帰りし、現役当時のままの姿で保存されている。方向幕には廃止路線の電停名も入っており、まるで1970年代からタイムスリップしてきたかのようだ。車庫西側の道路より撮影(写真:若杉優貴)

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6086号の隣には1953年に製造、1978年に車体更新されて2017年まで活躍した7001号も保管されている。こちらも車庫西側の道路より見ることができた。黄色に赤帯の車両が2両連なっている姿はさながら昭和の都電車庫のよう(写真:若杉優貴)

北区立飛鳥山公園/6080号(王子駅前/飛鳥山)

 江戸時代からの桜の名所として、また近年は新一万円札の顔である「渋沢栄一ゆかりの地」としても知られる飛鳥山公園。ここに保存されているのも6000形だ。6000形6080号は1949年に製造され、都心の車庫を渡り歩いたのち末期には先述の6086号とともに荒川車庫に移り1978年に廃車。  都電の軌道を見下ろす飛鳥山公園の南側に保存されている。飛鳥山公園の南側はかつて渋沢栄一の邸宅などがあった場所。渋沢ゆかりの建物はほとんどが戦災で焼失してしまっているものの、現在も旧渋沢庭園などが残されている。  6080号は保存後に火災に遭うなどして一時かなり老朽化・荒廃が激しかったが、近年大きな変化が起きた。2020年の修復によって、外装の塗装や表記が現役時代さながらの状態に復元されたのだ。  外装は綺麗になったといえども、よく見ると窓はなくなっており、車内は吊り革や灯具、都電のシンボルである「ベル」(チンチン電車の由来)などが撤去されシートが木製のベンチに変えられているほか、残念ながら無くなっている部品も目立つ。
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渋沢栄一氏ゆかりの場所にある6080号。案内板が設置されているほか、車外の検査表記なども忠実に再現されている(写真:若杉優貴)

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6080号の車内。多くの部品が無くなっているものの、公園を訪れた人たちが休憩する憩いの場となっている(写真:若杉優貴)

 この飛鳥山公園内には「デゴイチ」の愛称でお馴染みの国鉄の蒸気機関車「デゴイチ」D51 853号も保存されている。このデゴイチ、実は1943年に製造されたもので、デザインなどが簡素化された「戦時型」。よく見ると、通常のデゴイチよりもドーム部などが角ばった姿であることが分かる。来園の際には注目して欲しい。
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飛鳥山公園には「戦時型」のD51 も保存されている(写真:若杉優貴)

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都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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