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「消えろ!失せろ!」父の虐待と“吃音によるいじめ”に悩んだ青年が伝えたいこと

イベンターとして吃音から回復

 中退や失業により「自分の自慢の息子でなくなった」ことに対する父の怒りは留まることを知らなかったという。その後、いずも氏は転職し、いわゆるブラック企業のサービス業に10年間勤務するが、メンタルを病んでやめてしまう。  26歳の時に、自分と同じような発達障害者の居場所を作り、啓発したいと思い、X(旧Twitter)で発信を始めた。その中で発達障害者も、健常者も来店するバーの存在を知り、1年ほど通う。やがて自分もそういったイベントをやってみようと発達障害バーを開催する。 「盛況でした。バーテンダーとして自分が立って、話しているのが楽しかったです。吃音は残っていましたが、話す練習になりました。今でも発達障害バーは続けていますが、色んな人と知り合えるのが楽しいです。その経験から、発達障害イベントといっても色々な形があるし、『発達障害SPACE BLUE ROSE』と『SPACE』をつけることで、バー以外にも色々なことができる余地を残すような団体を立ち上げました」

吃音は1つの構成要素に過ぎない

匂宮 いずも

3月に開催した画廊フェス「表現器官」での写真。©サカキミヤコ

 父の虐待や、吃音もおおよそ克服したいずも氏に、同じように悩む人へ送りたいメッセージを聞いた。 「イベントを2~3年続けることで、気づいたら人前でしゃべることが増え、僕は吃音からほぼ回復しました。だから吃音を治せないとは思っていません。だけど、吃音はその人を構成する1つの要素に過ぎません。吃音の人は自分に自信がない人が多いですが、自分のことを発信することにもっと自信を持ってほしい。受け入れてくれる人は、世界の人口60億人の中に必ずいます」  確かに、障害はその人を構成する要素の1つに過ぎない。だが、その「要素」だけにフォーカスし過ぎず、人と人として、理解し合うことのほうが大切なのではないか。 <取材・文/田口ゆう>
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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