『水ダウ』への抗議文で考える“吃音者が感じる差別”とは。女性当事者に聞く
NPO法人「日本吃音協会」は8月1日、公式ツイッターにて『水曜日のダウンタウン』(TBS系列)に対し抗議文を送ったことを発表した。しかし、放送内容自体は吃音をいじるものではなかったという声も多く、抗議に対し否定的な意見の方が優勢のようだ。一連の騒動に対し、吃音を持っている人々はどう感じているのか。吃音に深く悩んだ経験を持つ当事者のミノリハさんに話を聞いた。
――今回の『水曜日のダウンタウン』。ピン芸人のインタレスティングたけしが、先輩芸人に説教を受ける際にしどろもどろになるシーンが放送されましたが、率直な感想を教えてください。
ミノリハ:吃音を持っていない人から騒ぎになっていることを聞いたのですが「そうなんだ」くらいに受け止めていました。番組内容も確認しましたが、特に嫌な感じはしませんでした。
――しかし、日本吃音協会はこの内容が差別や偏見を助長するとして抗議をしています。その点について、吃音当事者の皆さんの意見はどのようになっていますか?
ミノリハ:私が聞いていた当事者の方同士の意見交換では、是非を問うというより、「障害と笑い」や「団体の活動について」や「テロップの問題」など様々な論点で話されていました。そのなかで、今回の抗議に賛成する人と反対する人は、ほぼ半々だと感じましたね。
――当事者以外の多いSNSなどでは、どちらかといえば抗議は的外れだという意見が多いように感じられます。それでも、吃音の方へのいじめ等があるのは事実ですよね。どのような差別やいじめがあるんですか?
ミノリハ:多くの当事者が経験するのが、話し方をからかわれたり、話し方で判断されることだと思います。例えば、学校の授業での音読で、うまく言葉が出てこなくてどもったりして笑われた経験がある人は多いです。それで学校に行けなくなってしまった人もいます。
また、吃音の友達の中には、家族から『(喋り方が)恥ずかしいから隠して欲しい』と言われた経験があるそうです。
――最後まで味方であって欲しいクラスメイトや家族から理解が得られないことは、症状に対するストレスだけでなく、激しい孤独感にも襲われて辛いでしょうね。ミノリハさん自身の体験はありますか?
ミノリハ:私も、音読でどもった時にクラスメイトに笑われたことがあります。でも、全く嫌な気はしなくて、むしろ嬉しいという感覚もありました。
なかったことにされることの方が悲しいので、反応してもらえたのが嬉しかったんだと思います。これは、吃音の方で共感してくれる人はほとんどいないんですけど(笑)。
番組への抗議について思うこと
吃音に対する差別やいじめとは?
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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