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現役ホステスが見た、夜の街で横行する“上納システム”の実態。「イヤだ」と泣く女性を無理矢理…

「イヤだ」と泣く彼女を無理矢理

 さて、お爺ちゃんですが「イヤだ」と泣かれた程度ではひるみません。無理矢理ひん剥いてやった、という話を悪びれる様子もなく、むしろ自慢気に話して聞かせてくれました。 「あいつ天井を見上げたままひと声も発さないんだよ」「マグロだな、あれは」と言って、彼はケタケタと笑いました。声もあげずにじっと耐えた彼女のことを想像すると「怖かっただろうな」と思います。それを笑って話すお爺ちゃんに心底ゾッとしました。  ブヨブヨに太ったお爺ちゃんにここまでしてやったのに、そのうえマグロだなんだと私のようなどうでもいいホステスにまで言いふらされるなんて悲惨です。

のべつくまなしに消費し続けるおっさんへ

 彼女が自ら志願してハワイまでついて行ったのか、はたまた、ママに背中を蹴られて無理矢理飛行機に搭乗させられたのかは知りません。ただ、まだ右も左もわかっていないようないたいけな素人さんほど、都合よく動いてくれる“コマ”として使われてしまいがちなのは確かです。  そういう業界です。今は雑誌やSNS等で有名キャバ嬢さんが活躍していらっしゃるおかげか、夜の街に生息する我々の様な女にも市民権が与えられつつあるようですが、雑誌やSNS等で目にするようなキラキラな世界とは、実態が大きくかけ離れています。ましてや、憧れの目で見られていいようなものでは全くありません。  上納システムが常態化しているため、そこで長らく遊んでいる男性には、例えば女性を泣かせるようなことをしてしまった場合においても、自身の「加害性」について自覚させることはほぼ不可能。それをあの手この手でいなして、転がすのも腕の見せ所でしょうが。  常態化した上納システムが及ぼす弊害は大きく、一部の男性にとって女性というものは、我々のような売り物からそうでないものまで区別なく、男性の手によって好き勝手にもみくちゃにしてもよいものである、というとんでもない誤解を生んでいる気がします。  バストの大きな女性がいたらジロジロ見てもいいし、なんならちょっと触ってみちゃうし、「乾杯オッパイ」などの軽いものからそうでないものまで様々な言葉でからかってもよいのである、という間違った認識があまりにも一般的になりすぎています。  それはとんでもない誤解です。乳デカ女をからかってもいいのは、サービス料+TAXなど、飲み代の他にバカ高い料金が発生する飲み屋さんで遊ぶ場合のみです。あなたが無遠慮にジロジロ見ているそこの彼女は売り物ではありません。お気を確かに。
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「イヤだ」と泣かれたときは
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1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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