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「女は介護に使える」“男の子が欲しかった両親”から虐待を受けた29歳女性。暴行の後遺症に苦しむ「その後の人生」

卒業式の欠席を知った父親からの暴行

毒親インタビュー

まなみさんの顔の部分が破り取られている家族写真。本人いわく「誰が破ったのかはわかりませんが、こういう陰湿な嫌がらせは母だと思います」とのこと

 泣き腫らした目は、冷やしたら次の日に腫れが引くレベルではなく、本当にひどい顔だったため、翌日の卒業式を休むことにしたという。すると、卒業式の欠席を母の告げ口で知った父は、怒り心頭で仕事を放り出して帰宅。まなみさんは父親に頭を踏みつけられながら、これ以上ないほどの怒声を浴びせられていたという。 「お前ごときの欠陥ゴミくずが俺をなめてんのか? お前の意志でお前の勝手で、お前のような低脳が学校を休めるなんて抜かしんじゃねぇぞ? おい、わかってんのかよ!」  父親が怒鳴る度に踏みつけられた頭が、床に打ち付けられる。数時間に及んだ怒声と暴力に頭がおかしくなりそうになって、泣き叫びながら謝っていたという。 「もうとにかく怒鳴るのをやめてほしくて、ヒートアップしたら殺されてもおかしくないとも思いました。自分が何一つ悪くなくても『ごめんなさい、ほんまごめんなさい』と謝るしかなかったんです」

両親から離れたあとの後遺症

「このときのことは、あんまり記憶にありません……」と話すまなみさん。その後、なんとか就職先を見つけ、家を出ることができたそうだ。 「その後、自力で就職先を探して内定をもらって家を出ましたが、親から離れても平和になんか暮らせません。カウンセリングに行ったときに診断されたのは、鬱病と強迫性障害と不安障害でした。父に似た背格好の人がいたら呼吸困難になったり、誰かとすれちがったときにその人が笑っていたら“自分が笑われたのかな”と思ったり……。そういうこともあって、人が怖くて人混みはもちろん、ちょっと空いた本屋さんなんかでも急に呼吸が苦しくなることがあります。出歩くのは早朝か夜中しか考えられません」
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両親は出産時に「女は介護に使える」と発言
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会社員兼ライター、30代ワーママ。世の中で起きる人の痛みを書きたく、毒親などインタビュー記事を執筆。

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