仕事

53歳で早期退職した男性が「会社に残るべきだった」と心底後悔した理由。独立当初は順調だったが、思わぬ落とし穴が…

体力の衰えや病気までは予想できなかった

その後、残念ながら仕事に戻ることはできなかったという。その時の後悔をこう語る。 「私は這ってでも働きたいという気持ちだったのですが、身体が言うことを聞いてくれない。医師からはリハビリで最低3週間程度は入院が必要と言われて、頭が真っ白になりました。思えば部長としてのマネージメント生活から一変、現役SEとして、納期厳守で深夜まで作業することも多く、老体にムチを打って仕事をしていた。いろいろと無理がたたって、病に倒れてしまったんだろうと思いました。 病院で過ごすうちに、自分の命を心配してくれる妻の存在がありがたいと感じるようになりました。思えばフリーになってからは私が仕事最優先で、妻と旅行に出かけることはもちろん、顔を合わせて会話をすることもなかった。本来なら離婚されてもおかしくないのに世話をしてくれるわけで……。一度は死んだ身ですし、家族を大事にすることにして、会社の設立も諦めることにしました。 早期退職をしていなければ、脳梗塞にならなかったかもしれないという後悔はあります。自分の技術力や人脈には自信があったし、実際上手く行っていたけれど、体力の衰えや病気までは予想できなかった。会社員のままなら、休職という手段もあって、収入ゼロにはならなかっただろうし……。後の祭りですね。とりあえずしばらくゆっくりして、この状態でもできる仕事を探してみるつもりです」 早期退職にはさまざまなリスクがつきまとう。とくに高齢でフリーに転身する場合は、体調や身体の衰えも考慮する必要がありそうだ。 <TEXT/佐藤俊治>
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
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