更新日:2025年03月14日 16:40
ライフ

タワマン住人から抽選で選ばれる“理事長”になったら地獄の日々…。実際に住んでわかった「厳しい現実」

防犯カメラがあっても不法侵入が絶えない

タワマン理事長

竹中信勝氏の著書『タワマン理事長』

——大勢の人が住むマンションなので事件などもあったかと思いますが、そのあたりのお話を聞かせていただきたいです。 竹中:不審者の侵入は多かったですね。基本的にエントランスのドアは、住人しか開けられないようになっています。でも、インターフォンを適当に押して「宅急便です」と言えば不審がられずに開けてしまうので、簡単に入れてしまうのです。もう1つのやり方は、エントランスの前で待っていて、住人が開けて入った時に、さりげなくその後から入る方法。防犯カメラのモニターをずっと見ていたときに、その手口に気がつきました。 ある日、3個のトイレットペーパーが便器の中に投げ込まれる事件が起きまして……。たくさんの防犯カメラがありましたが、さすがにトイレには設置できません。いったい何が目的だったのかわかりませんが、犯人が出入り業者だったと後日判明しました。

強風でエアコンの室外機が飛んだ

——台風や地震など、気候変動もあいまってタワマンも、その被災リスクはありそうですが、具体的に危なかったことはありましたか? 竹中:上層階で、壁面に穴が開いていたということがありまして……。これは落雷でできた穴だと聞きました。「避雷針があるのになぜ?」と思いましたが、そのままにしておくわけにもいきません。もし壁面から建材が崩落したら、地上を歩く通行人に危険なので、大惨事になる前にカラーコーンを置いて立ち入り禁止とし、ひとまず安全対策をとりました。その後、補修にいくらかかるか調べて、管理会社に工事を発注しました。 ほかにも、台風が来たとき、エアコンの室外機が飛ばされ、ガラスにぶつかって割れたということもありましたね。信じられないかもしれませんが、タワマンの高層階は、とてつもない強風に煽られることがあります。付近のタワーマンションでは、網戸が飛んだという話も聞きました。理事長になると、本当にいろいろなトラブルが発生して、そのたびに悩みましたね。  *  *  *  竹中さんは、華やかなタワマンライフの裏で「理事長」という思いがけない重責を背負うことになり、思いがけない苦労や現実を知ることになったという。後編となる次回は、騒音などをきっかけに勃発する住人同士のトラブルなど、よりリアルな話をお届けする。 取材・文/鈴木拓也 【竹中信勝氏】 1961年10月生まれ。電通に新卒入社。営業担当として多数の業種を担当し、新規顧客の開拓で140社以上の実績。ライフシフトの人生100年時代を見据えて同社を早期退職。現在は。「ライフシフトプラットフォーム(LSP)」のスターティングメンバーとして活躍中。2022年3月、社会構想大学院大学実務家教員養成課程修了。著書に『タワマン理事長 – ある電通マンの記録 -』(ワニブックス)がある。
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
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