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「アニメ好きな女子高生」が銀座で“売れっ子ホステス”になるまで。きっかけは「“ギャルの同級生”のからっとした明るさ」

「実家のスナック」で働いてみたものの…

四海ゆりさん

銀座で働き出したのは、武者修行の一環でもあった

――ゆりさんは結構早くから水商売をされていますが、スロースターターだったんですね! ゆり:そうですね。実は実家は四谷でスナックを営んでいます。母がそのスナックのママで、父は中卒で黒服などをやっていた水商売の生き字引みたいな人です。血統的には向いていそうなのに、当時の私はコミュニケーションを取るのがお世辞にも上手ではありませんでした。しかも最初は実家のスナックに勤めたものだから、昔から知っている馴染みのお客様ばかりで、全然修行にならなくて(笑)。  結局、父から「銀座のスナックであれば勤務してもいい」と言われ、自力でお店を探して入店しました。しかしメイクの研究などをして、見た目の印象は少し変わったはずなのですが、なかなか会話は上達しませんでした。コミュニケーションが苦手で、出勤前にお酒を飲んでテンションを自分であげないとお客様としゃべれないダメなホステスでしたね(笑)。

「結婚できない男女」をサポートするワケ

――そんなゆりさんがホステスとしても人気になり、婚活で悩む男女をサポートする事業にまで手を広げたのは、なぜでしょうか。 ゆり:私は途中で昼職などを経験して、一度はホステスを辞めたのですが、この世界に戻ってきました。それは、「コミュニケーションで悩んでいる人の助けになりたい」という思いが根底にあるからだと思います。銀座の夜はさまざまなお客様がいらっしゃいます。私たちホステスも、お客様に育てられた部分が大きいと感じます。だからこそ、学んだことを困っている誰かに伝えていけたらと思っているんです。 ――結婚ができなくて悩む人はそんなに多いですか。 ゆり:多いと思います。きっかけは、「モテない」と悩んでいる人向けのセミナーを主催する人から、当事者たちにアドバイスしてほしいと頼まれたことだったのですが、その根本にはコミュニケーションの苦手さがあると思いました。モテとか非モテという言い方が一時期盛んにされました。見た目の問題もないとは言いません。ただ、最も大きいのは、些細な気遣いとか言葉遣いの積み重ねで差ができてくるのだと思います。 ――銀座できれいに遊べるお客さんのなかには、いわゆる“モテ”がたくさんいますよね。 ゆり:私が見ていて感じるのは、「異性にだけモテる」という人はあまりいないということです。モテる人は必ず、同性からも支持されています。それは、信頼されている証拠だと思います。私は、“モテ”とは信頼のことではないかと考えています。たとえば仕事ができる人は一般的にモテますよね。それは、任された「この人なら任務を全うしてくれる」という信頼があるからだと思うんです。銀座のお客様のなかには、そうした期待を持たせてくれる素敵な男性がたくさんいます。
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“銀座で飲む男性”の共通点とは
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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