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「アニメ好きな女子高生」が銀座で“売れっ子ホステス”になるまで。きっかけは「“ギャルの同級生”のからっとした明るさ」

“銀座で飲む男性”の共通点とは

四海ゆりさん

コミュニケーションに苦労した過去があるからこそ、同じ悩みを持つ人に寄り添えるのだろう

――そんな男性たちに共通することはありますか。 ゆり:仕事ができるのは先ほどお話した通りですが、最も感じるのは「愚痴を言わない」「周囲に感謝している」ということでしょうか。ビジネスの最前線にいる方ばかりなので、緊張感のある場面を幾度も経験していると思いますが、ほとんど愚痴は聞いたことがありません。お酒を飲んでも、楽しいお酒になる方が多いです。また、「いい部下を持った」といって、立場にかかわらず相手へのリスペクトがあり、感謝できる人が多いといつも思っています。 ――どんな仕事においても通じる話ですね。 ゆり:そうだと思います。それこそ私たちのような水商売においても、ナンバーワンなどの成績を残せる人は、お客様はもちろんスタッフにも敬意があるし、日頃から仲良くしていますよね。「キャスト同士がいがみ合っている」というイメージを持たれる人もいるのですが、実際には、軋轢があると売上は伸びていきません。ある意味で水商売もチーム戦のようなところがあり、キャスト同士が仲が良く、スタッフとも信頼関係で結ばれているお店が順調に売上を伸ばせる世界だと思います。 ――結婚相談所の経営者としては、これからどんな展望がありますか。 ゆり:かつての私のように自分のコミュニケーション能力が低いと悩む人たちに対して、克服するきっかけになれれば嬉しいですよね。「相手の立場に立って物事を考える」「常識的な振る舞いをする」など、字面で見れば「そうだよね」と誰もが納得することでも、実践できるかどうかといえば結構難しかったりもします。そういう一つひとつを丁寧に一緒に考えていって、その先に会員様が望む結婚という未来があればいいなと思っています。 =====  人とコミュニケーションするのが苦手でも、アニメがあるから幸せだったゆりさんの学生時代。けれども人とのつながりがあれば、好きなものについて語り合うこともできる。人生を深め、豊かにしていくために、人は人と語る。銀座の一等地で対話を売り物にして生き抜いてきたひとりのホステスの挑戦が、結婚できずにくじける若者たちの未来を明るく照らす。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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