高橋ヨシキ氏『建前を超えた人間のどうしようもなさが描かれてるのが名作!』
映画史上、文学史上に残る名作たち。一応知っておかないと恥ずかしい気はするけど、なかなか時間もないし面倒なもの。そんな名作を、見た人、うろ覚えの人、未見の人にザックリ一言で語ってもらいました。これを読めば、あの名作が一瞬で理解できる!(かも)
高橋ヨシキ氏「建前を超えた人間のどうしようもなさが描かれてるのが名作!」
『スタンド・バイ・ミー』をザックリ要約するなら、「子供のうちは勝手な夢が見られて楽だ」って話。『ウエスト・サイド物語』は単純に「チンピラ版『ロミオとジュリエット』」。
ほかの作品だと、『E.T.』は「母子家庭に、お父さんの代わりに宇宙人が来た」って話。『明日に向って撃て!』は、「警察は思ったよりしつこい」。『レオン』は「盆栽好きのロリコンは殺し屋の可能性があるから気をつけろ!」って感じかなあ。
いわゆる「名作」と単なるヒット作との違いは、「建前を超えた人間のどうしようもなさ」が本当に描かれてるかどうかってことだと思う。
だから、絶対見てほしいと思う「名作」は、たとえば『世界残酷物語』。世界の残酷な風習を扱ったモンド映画だけど、一言で言うと「世界は残酷で満ちている!」っていう作品。文明国でも未開の地でも、人間はみな根本的には同様に野蛮なんだってことを描ききった映画です。
『未来惑星ザルドス』も素晴らしい。不老不死で性欲も失った知的人種と、退化した旧人類がいるんだけど、後者のショーン・コネリーがコロニーにやってきたせいでインテリがみんな性欲ムラムラきちゃう。「セックスもせず長生きするのは人間らしい生き方ではない!生き地獄だ!」って真実を観客に突きつける(笑)。
まあ、どっちもおためごかし抜きの人間の姿を突き詰めた作品ですよ。
【高橋ヨシキ氏】
本誌にて「ブッ殺シネマ!」連載中の映画ライター。残酷映画ムック『ショック! 残酷! 切株映画の逆襲』(洋泉社)が好評発売中
― 名作映画&小説[ザックリ解説]大賞【4】 ―
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