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仕事で「言いづらい意見」をぶつける時の心構え

石黒謙吾氏

石黒謙吾氏

 著述家で編集者の石黒謙吾氏による新著『7つの動詞で自分を動かす』(実業之日本社)が注目されている。「愚直に動くこと それは誰だってできる簡単な問題解決法」と謳う同書では、「ぶつける」「分ける」「開ける」「転ぶ」「結ぶ」「離す」「笑う」という7つの動詞を提示。それらを入り口に、「<名詞で受動的に考える>から、<動詞で能動的に考える>」ことの重要性が解説されている。

 そこで今回、著者の石黒氏に「サラリーマンの日常を“7つの動詞”で見直すと……?」というテーマで話を聞いてみた。タフな仕事人として名高い石黒氏の熱いメッセージを見逃すな!

◆その1「ぶつける」

――まず、この 「ぶつける」は、けっこう激しい言葉ですが、“サラリーマンの日常”という視点で、どう捉えていけばいいでしょう。

石黒:仕事において、言いにくいところに、言いづらい意見をぶつけなければならないことはよくあるでしょう。偏屈な上司や面倒くさいクライアント、気難しい後輩、常識を知らない新人の女のコ(笑)……挙げていけば、いくらでも出てくる。

 こういう場面で僕がいちばんに唱えたいのは、「思ったまま言おうぜ」ということに尽きます。変な根回しなどをせず、かつ、エラぶったり、へりくだったりもせず、フラットな姿勢で思ったままの意見をぶつけようと。気遣いは大事ですが、それによって「サービスしよう」とか「いい気分にさせよう」という意識はいらないんです。あくまでも普通のトーンで、意見を意見として、提案を提案としてぶつける。竹を割ったようなやりとりというイメージでしょうか。

「ぶつける」と聞くと、ある種の激しさ、激情的イメージがあるかもしれないけど、この本で伝えたい根本はそれとは違います。大切なのは「こいつは腹を割ってるな」と相手に思わせること。根回しを考えたり、相手の出方を探ったり、自分を抑えて相手に合わせたり、なんてことを意識している時点で、ぶつかっていってない。よけてます。そういう姿勢って相手に伝わりますから。さらには、うじうじ悩んだあげく、ぶつけないまま終わる……なんて最悪です。うまくいかなかったかもしれないけど、うまくいったかもしれない。その必ず出る答えを自ら放棄してしまっては、いつまでもモヤモヤが脳と心に残る。トゲが刺さったまま放置するようなもので、ストレス以外の何ものでもないですよね。

 もちろん、ぶつけても通じない、うまくまとまらないことだってあって当然。でも、たとえば「企画が通らなかった……」と単純にヘコんで諦めてしまうから、もしくは相手に合わせて「通す」前提から小細工をして当初の理念を歪めてしまうから、いつまで経っても芯が成長しない。そこでネガティブに捉えず、通らなかったら次のプランを新しく考えたほうがいきいきしますよ。壁をプラスに転じさせるのは自分自身です。だから、とりあえずはぶつけてみたほうがいい。はじかれたら、またぶつければいい。そういうシンプルな営みを愚直にできる人間が、最終的には強い。ケンカして血だらけになっても何度も向かってくるヤツの迫力というか執念はぞっとするのと同じで。

――組織において、ある程度の根回しは不可欠かもしれません。「アタマの固い直属の上司を口説くため、他部署の部長を味方に付けておく」「先に次長へ軽く話を振っておく」みたいなクレバーさも必要な気がします。

石黒:直属の部長が、もしその根回しを知ったときにどう感じるでしょうね。「なに、俺を飛ばして話を進めてやがるんだ」「ウラでこそこそ話をまとめやがって」と思うでしょう。組織の人間関係とはそういうもの、という一面があるにせよ、本音としては面白くないに決まってる。なにより「よけて」いるのがNG。ぶつけて、本気で説得するという形でなく、根回しして少しでも楽にコトを進めようとしている時点で「よけて」ますよね。器用にやっているようでも、「よける」という性根は最終的にまともな人には嫌わるはずだし、信用はされません。

 べつにケンカしろ、と言っているわけではありません。当然ですが言葉づかいやトーンには気を付けるべきです。そうして5回ぐらいぶつけられたら、まともに読んでくれなかった企画書でも「ちょっと読んでみるか」という気持ちに相手もなったりね。念じれば通じる、は非科学的で信じない人もいるだろうけど、そう思っている人の「気」はもわーっと立ち上り、他人を動かすはずですから。

【石黒謙吾氏】
編集者・著述家・分類王。1961年、石川県金沢市生まれ。講談社『PENTHOUSE』、『Hot Dog PRESS』の雑誌記者・編集者を経て、32歳で完全フリーに。以来、書籍の編集やプロデュースに注力し、これまでに200冊以上を手がける。著書は87万部で映画化もされた『盲導犬クイールの一生』はじめ、『2択思考』『図解でユカイ』『ダジャレ ヌーヴォー』など多数。プロデューサー・編集者としても、歴史・社会ネタからサブカルまで、硬軟織り交ぜたさまざまな本作りを展開する。全国キャンディーズ連盟(全キャン連)代表。日本ビアジャーナリスト協会副会長。草野球歴34年、年間40試合という現役プレーヤーでもある。

<取材・文/漆原直行>
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