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儲けた人が増えれば景気は良くなる

安倍政権が掲げる「アベノミクス3本の矢」。矢継ぎ早に放たれた2本の矢は功を奏し、円安・株高という成果をバッチリ収めることに成功した。これから放たれる注目の3本目の矢「成長戦略」も、どうやら期待できそうだ ◆最初の3か月で結果を出した安倍首相。アベノミクスの「成長戦略」は期待できる!(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)  世の中、出だしが重要なことはいろいろある。例えば、証券会社のトレーダーが独立してヘッジファンドを立ち上げても、最初の3か月でたまたまパフォーマンスが悪いと、そこで終わりだ。資金を預けている投資家が、こいつはダメだと思ってどんどん解約してしまうからだ。たった3か月なんて運の要素が限りなく大きいけど、そういうものなのだ。新人作家が最初の本を出してたまたま売れないと、もう2冊目は出せなくなる。理不尽だけど、そういうものなのだ。  しかし、安倍総理は運だろうがなんだろうが、最初の3か月でバッチリ結果を出した。アベノミクスの3本の矢というのは、「大胆な金融緩和」「機動的な財政政策」「成長戦略」だが、最初の2本がバッチリ効いた。特に黒田新体制になってから日銀が放った異次元金融緩和、通称“黒田バズーカ”の威力は絶大だった。日銀の国債保有額とその平均残存期間を2倍以上拡大する、日本株ETFやJ‐REITなどのリスク資産の保有残高も大幅に増やすことなどが決められた。これでさらに円安の流れになり、株価は再び急上昇した。  こうした非伝統的金融政策については専門家の間でも意見が分かれており、効果や副作用についてはいまだに決着がついていない。効果はすでにあった、と言われるかもしれないが、上がったのは資産価格だけで、本来の政策目標である消費者物価指数は依然としてデフレ気味だ。しかし、そんな小難しい話はどうでもいい。株価が上がれば、多くの個人投資家は嬉しいし、個人のFXはだいたい外貨ロングのポジションなので円安になるとみんな儲かる。景気の気は気分の気なので、儲かった人が多くなると、本当に景気がよくなるかもしれないのだ。 ⇒【後編】アベノミクスの「成長戦略」は期待できる!に続く
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【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは7万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
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