青木宣親、電撃トレードは一流選手の「勲章」
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来季、メジャー3年目を迎える青木宣親が「栄えある電撃移籍」を果たした。
現地時間5日、青木が所属していたミルウォーキー・ブルワーズは、カンザスシティ・ロイヤルズとの交換トレードで青木を放出したこと発表した。ブルワーズは青木と引き換えに、ロイヤルズからメジャー2年目の若手左腕を獲得する。
日本球界でトレードというと、あまり良いイメージがないのが正直なところだ。チームに居場所がなくなった選手や、首脳陣と馬が合わない選手が「放出される」といったニュアンスで報道されることも多い。
しかし、メジャーの場合は違う。今回のトレードは、青木にとって胸を張るべき栄誉ある“キャリアアップ”である。
選手の移籍が活発なメジャーリーグでは、オフシーズンはもちろん、シーズン中でも主力選手のトレードが珍しくない。ときには3チームの間で計10選手以上が一気に動くような超大型トレードも実現する。勢力図を大きく変えるような大型トレードは“ブロックバスター”と言われ、メジャーのストーブリーグにおける風物詩である。
青木が2年間プレーしたブルワーズは今季、74勝88敗でナ・リーグ中地区4位に沈んだ。2年前の2011年には地区優勝を果たしたが、現在チームは将来を見据え再建モードに入っている。そのため、主力選手を放出してでも若き才能を獲得したいという思惑があった。
一方、青木の新天地となるロイヤルズは長らく低迷が続いていたが、今季86勝76敗の好成績でア・リーグ中地区3位。チーム防御率リーグ1位の投手陣を中心とした守りの野球で、シーズンのラストスパートまでプレーオフ進出争いに食い込んだ。デイトン・ムーアGM(ジェネラル・マネージャー)は「2014年に頂点」と口にしており、来季を勝負の年と位置づけている。
46歳のムーアGMは現在、米球界で指折りの敏腕GMとして名高い人物だ。2006年5月にロイヤルズGMに就任すると、3年連続で100敗以上を喫していたダメ軍団を立て直し、若手育成に成功した今季は過去20年間で最高の戦績を記録。先日は2016年まで契約延長したばかりだ。
デキる男に認められたからこそ青木はトレードの駒になったのであり、それは選手としてのこれ以上ないステータスである。
青木の今季成績は、155試合に出場し打率.286、8本塁打、37打点、20盗塁。特筆すべきは、今季597打席でわずか40三振しか喫していないこと。実に15打席に1三振という割合で「メジャーで最も三振をしない打者」としての地位を確立した。シーズン中盤には、72打席連続無三振という球団タイ記録もマークした。
トレードが決まった当日の日本時間6日、奇しくも青木はメディアとファンの前に姿を見せる。ベッドマットレスブランド「マニフレックス」が主催するトークイベントに、青木と同じくメジャー2年目を終えた岩隈久志、川崎宗則と共に登場するのだ。電撃トレード直後の心境は、果たして?
<取材・文/内野宗治(スポーツカルチャー研究所)>
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