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[就職・転職できない人の共通点]を人事のプロが斬る

海老原嗣生

海老原嗣生氏。漫画『エンゼルバンク』のカリスマ転職代理人・海老沢のモデルでもある

学歴・年齢・経験…人によって“職が見つからない”背景はさまざまだろう。だが、少なくとも大卒・男性で新卒~30代前半であれば、労働市場ではかなり恵まれた部類だ。それなのに、なぜ受からないんだろう……?
長年リクルートエージェントで雇用の現場を見てきた海老原嗣生氏によると、ひとつの大きな原因は、自分が受かる相場観がわかってないこと。要するに、中小企業・知らない企業に、目が向かないことが一因だという。

たとえば転職の場合。
転職希望者がエージェントを通して転職を決めるまでに、どのぐらい不合格の山を築くか存知だろうか?
海老原氏によると、1件決まるまでに落ちる数は、好況期で30件、不況期で70件にも上るという
「転職エージェントにエントリーしてから転職が決定するまでに、大体5か月ほどかかります。最初の2か月は、まさに<落ちて落ちて落ちまくる>時期。これにより、相場観が形成される。このときに、いくら<無理><高望みするな><キャリア相応の企業を>と説得を試みても、そのとおり納得してくれる求職者は少なく、不合格を累々と積み上げることになるのです」(海老原氏)
その途中で心が折れて、転職をあきらめてしまう人も少なくない。

新卒の就活の場合は、“相場観”がないぶん、もっとひどいという。
3年冬に就活が始まると、「本当にほとんどの学生が、まず名だたる大手企業から受けていく。で、4年生の4月頃に無理だと気づいて、今度は『三菱●●』といった大手系列を受けまくり、落ちまくる。夏休み頃に<大手系は無理>とようやく判断する。つまり中小企業に目が向くまでに、半年以上かかっているわけです」(同上)

名だたる人気大手企業の新卒採用枠は2万人程度なのに対して、東大・京大・旧帝大・早慶の卒業生は4万人近くいる。席取りゲームはブランド大学だけで埋まってしまう、というシビアな現実に早く気づくべきなのだ。

対して中小企業は、人を採りたいのに採用できない、ということが少なくない。たとえば2012年3月卒の新卒求人倍率は、全体で1.23倍。従業員5000人以上の企業で0.49倍、従業員300人未満で3.35倍 リクルートワークス研究所調べ)。中小企業なら、1人に対して3社以上の求人があることになる。
もちろん中途採用でも、中小企業の採用意欲は旺盛だ。

就活学生や転職者の目を、いかに元気な中小企業に向かせるか?コトの本質はそこなのに、やれ「新卒一括採用が悪い」とか「フリーターになったらやり直しがきかない」とか「若者を搾取する中高年のせいだ」などと、わけのわからない議論が事態を悪化させている、と海老原氏は怒る。
しかも厚労省が打ち出した「卒業後3年は新卒扱いにせよ」という施策は、実は若者の首を絞める最悪の選択だ、と海老原氏。これらの警告は、海老原氏の新刊『就職、絶望期 ~「若者はかわいそう」論の失敗』(扶桑社新書)に詳しい。

一方で、「中小企業を選べ、と言われても…」という求職者側の当惑もごもっとも。やっぱり小さいと倒産の心配もあるし、平均値で見れば大手より給料が4割安いという事実もある。だが、何百万社もある中小企業を平均で見るのは意味がない。大手より高収益・高給与の中小がかなりあることや、中小企業を見る観点も、『就職、絶望期』で提示されている。

そこで、週刊SPA!9/13発売号の特集「スゴい中小企業への転職ガイド」では、海老原氏のアドバイスを受けつつ、元気のいい中小企業を取材した。すべて求人情報付き。いやほんと、スゴい中小企業がいくらでもあるものです。

文/週刊SPA!編集部

就職、絶望期~「若者はかわいそう」論の失敗【参考図書】
『就職、絶望期 ~「若者はかわいそう」論の失敗』
海老原 嗣生 著
扶桑社新書 798円(税込)

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