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“お人好し”の日本が取るべき外交戦略とは?【デヴィ夫人×木村三浩氏が大激論】Vol.4

ヘイトスピーチ・デモが社会問題化し、空前の「嫌中」「嫌韓」ブームが訪れるなか、そんな空気を裏付けるかのように起きた浦和レッズの垂れ幕騒動……。安倍政権になって以降、海外メディアからは、さかんに日本の「右傾化」を案じる声も上がっているが、果たして真相は? 炎上上等!でメディアを賑わす保守の武闘派論客・デヴィ夫人と猪瀬前都知事5000万円授受渦中の新右翼「一水会」代表・木村三浩氏が大激論!

⇒【Vol.3】『日本の「真の独立」を安倍首相は目指してない』
http://nikkan-spa.jp/617480


◆“お人好し”の日本が取るべき外交戦略とは?

日本 日本の外交が岐路に立たされるなか、国内に目を向ければ、先頃、Jリーグ・浦和レッズのサポーターが、試合中に「JAPANESE ONLY」の垂れ幕をスタジアム内に掲げ、「無観客試合」という異例の厳しい制裁が科せられたばかりだ。

 一方、東京・新大久保駅周辺で行われている「ヘイトスピーチ・デモは、国会で取り上げられるなど、すでに社会問題化している。最近では、電車の中吊りに「嫌中」「嫌韓」のタイトルが躍る週刊誌は売れ行きが上がるという現象まで起きており、このような国民的レベルでの反中・反韓意識の高揚は、顕著なかたちで現れているようにも感じる。

木村: 「JAPANESE ONLY」の垂れ幕やヘイトスピーチは論外ですよ。

デヴィ夫人(以後、夫人):私も、何の罪もない韓国料理店の店主に向けて口汚く罵るような暴挙は許せません。デモは品格を保ってこそ強力なんです!

木村:そもそも「嫌中」「嫌韓」を声高に唱える人たちは、彼らが抗議する韓国と同じ土俵に立ってしまっている。もちろん、国を思う熱意は感じるのですが、それ以上に国際感覚が乏しいように見えます。 お人好しの日本人は、海外メディアや外国政府の言動を鵜呑みにして、自国に不利益なことを書く“いびつさ”も抱えていますが、お隣・韓国のジャーナリストは真逆で、自国に不利なことは絶対に書かない。つまり、自分たちの罪には目を瞑り、他国批判を平気で行うような国と同じ土俵に上がっちゃいけないということです。

夫人:それは理想です。もう、そんな上品なこと言ってられませんわ。中韓の反日プロパガンダの周到さときたら、お人好しの日本人からすれば荒唐無稽に映るかもしれませんが、日本の政府やメディアがきちんと否定しないから、日本は益々誤解されて、まともな外交さえ成り立たなくなってきている。ヘイトスピーチは否定しますが、若い人たちの間に保守化が進んでいるのは、政府やメディアに頼っていても無駄という危機感の表れのようにも見えます。極言すれば、すべては歴史教育のせいでしょう。たった一度の戦争で、あたかも全世界の罪を背負うように、日教組が子供たちに教え込んできたせいで、いまだに日本人は贖罪意識から解放されずにいる。マッカーサー元帥でさえ、終戦後の’51年に米上院軍事外交共同委員会で、先の戦争は、日本が安全保障の必要に迫られた自衛戦争だったと証言しています。にもかかわらず、公募論文に「日本は侵略国家ではない」と書いただけで、田母神さんを航空幕僚長の職から引きずり下ろすような国なのです。

木村:私が言いたいのは、韓国に抗議するなら、本来はまず日本政府の対応や政策に異議を唱え、訴えるのが大前提ということ。フランスの極右政党「国民戦線」の創始者ル・ペンは、当然、移民排斥を目指しているのですが、フランスは出生地主義で移民も2代目から国籍を取れるので、必然的にその数は増える。彼らの多くは都市郊外の荒廃した集合住宅などに、ゲットーのようなテリトリーをつくってしまうんですが、ル・ペンはこの点に異議を唱えているわけです。特定の地域に貧困層が増えれば、治安は悪化しフランス人の安全が脅かされる……。つまり、単純な排外主義ではなく、明解に国の政策を批判したうえで主権や文化を守ろうとする主張なんですよ。単に、日本に批判的な国を敵国扱いして愛国心を煽るのは、本当の右翼の姿とはかけ離れている。

夫人:確かに未熟さは否めませんが、国を憂う若者の出現は歓迎すべきこと。この際、木村さんが、あるべき“憂国の志士”の姿をお教えしてあげるのもいいんじゃないかしら。

木村:そうかもしれませんが、広く世界を知り、見識の高い夫人のような方が、日本のためにひと肌脱いだほうがいい。自国を客観視できるので説得力が違いますよ。国が役職を与えるとか、それが叶わないなら親善大使のようなかたちで世界中を訪れるのも大事。こうした役回りは女性が適任で、日本の女性親善大使が韓国に行って、慰安婦問題について議論をすることは、安倍首相がそれをやるよりはるかに有効です。加えて、日本の文化をよく知る外国人の方に働きかければ、発信力が増すのは間違いない。日本文化研究の第一人者であるドナルド・キーンさんや、NYタイムズの東京支局長などを歴任したヘンリー・ストークスさんなどもいらっしゃいますが、政府はこうした人たちの力をもっと活用すべき。日本を思ってくれる彼らに自由にモノを言ってもらえれば、多少過激な意見であっても、フラットに世界の人々に届けられますから。

夫人:例えば、国際親善大使の経験者や、歴史学者のような有識者を参議院に入れるのもいいと思いません? いっそ、政治家を総取っ替えしちゃいましょうよ(笑)。だって、日本の政治家は選挙に勝つことしか考えてないんですもの!

 インドネシア国籍のデヴィ夫人が国会に殴り込みをかける姿を拝むことはできないが、親善大使としての新たな一面を見てみたい。

▼罰金50万円で手打ち“巨悪”は存在したのか?
3月28日、猪瀬前知事が徳洲会から5000万円を授受した資金提供問題は、略式起訴と罰金50万円の納付で決着した。猪瀬氏は「当初、5000万円はもらうつもりだった」と供述。だが、徳洲会側から借用書への署名を求められ、この借用書をもって特捜部は借入金と認定したわけだが、果たして、報道されたような“巨悪事件”だったのか、釈然としない幕引きとなった

【デヴィ・スカルノ夫人】
インドネシアのスカルノ初代大統領夫人。亡命したパリで社交界デビューし、“東洋の真珠”と謳われる。国連環境計画特別顧問など、世界規模で多くの慈善活動を展開

【木村三浩氏】
新右翼民族派団体「一水会」代表。反米・民族自決を掲げ、精力的に活動し、世界の右翼政党、愛国者との親交も厚い。近著に『お手軽愛国主義を斬る』(彩流社)

撮影/八尋研吾
― 日本は「右傾化」などしていない!【4】 ―

お手軽愛国主義を斬る

新右翼の論理と行動




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