なぜ電車の中では過剰にイライラしてしまうのか?【満員電車の心理学】
電車の中で乗客のマナーの悪さに不愉快な思いをされた方は多いのではないだろうか。一般社団法人日本民営鉄道協会が行った「平成25(2013)年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」を下記の表にまとめた。1位の「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」や、3位の「ヘッドホンからの音もれ」に、誰もがイライラした経験があるだろう。
⇒【調査結果の詳細】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=650237
街の中での騒々しい会話などはそこまで気にならないのに、なぜ電車の中では過剰にイライラしてしまうのだろうか。これまで多くの心理学の書籍を世に出してきた目白大学教授の渋谷昌三氏は近著『電車の中を10倍楽しむ心理学』(育鵬社)で、「なわばり意識」がこの原因を理解するキーワードだと分析する。
人は、音でも自分のなわばりを主張できるのだそうだ。例えば、車の窓を開けてガンガン大音量の音楽をかけたり、バイクに乗りながら音楽をかけている若者がいるが、音を聞かせることにより自分のなわばりを誇示しているのである。屋外では他人のなわばりを避けることができるが、身動きの取れない電車の中での騒々しい会話等は【無理やり聞かされる=強制的に相手のなわばりに入れられる】のであり、これが不快の原因なのだそうだ。
このように、電車の中では見えない「なわばり」がたくさんあるという。例えば、車内で私物を床に置いたりするのも「ここは自分の場所だ」となわばりを主張しているのだそうだ。
また、電車に乗るとすぐにスマホをいじる人や、電車の中で化粧をする女性も「なわばり意識」が大いに関係しているとのこと。
大量の刺激に囲まれている現代人は、できるだけ入力を制限したりして現実の生活から退避し、過剰な負荷環境に順応しようとするのだそうだ。電車の中でスマホに没頭している人は、周りとの関係をシャットダウンし、自分のなわばりにとじこもっている状態なのだという。
また、電車の中で女性が平気で化粧できるのは、周りの人間を人格を持った存在ではないととらえ、自分だけのカプセルに入った心理状態になっていると指摘する。だからこそ、公共の場である電車の中でも化粧というきわめて私的なことができるのだそうだ。
こういうことを知っているだけでも、電車の中での光景がいつもと違って見えてくるのではないだろうか。
最後に、渋谷氏は騒々しい会話の不快感を軽減するためには自ら相手のなわばりに入り込むのが意外と有効だと提案している。電車の中での騒々しい会話も、聞き耳を立て、相槌を打ってしまうくらい聞いてみたら案外おもしろいかもしれない。 <取材・文/吉留哲也>

|
『電車の中を10倍楽しむ心理学』 もう「通勤時間が退屈だ」なんて言わせない! ![]() |
【関連キーワードから記事を探す】
意識高そうで意味不明な肩書き。エバンジェリスト、グロースハッカーって?
SNSで増殖中“セルフいいね!おじさん”に若者たちから「イタすぎる」の声
映画『カメラを止めるな!』大ヒットの裏で「絶賛するヤツがウザい」の声も
元銀座No.1ホステスが教える「おじさんが若い女性にドン引きされない秘訣」
イラッとくるCMランキング、 3位高畑充希の『紅』を超える上位は…
終電間際、車内の床に“謎の液体”が流れてきて衝撃。本人は何事もなかったように「無の境地」で…
電車の扉が開くと“我先に”突撃。整列乗車のマナーを無視、ぶつかっても謝らない客に大迷惑
飲食店で働く人がぶっちゃける“イラっとした客の言動”「『同じのください』は困る」「お冷を人数分出しても結局余る」
知らないと恥をかく、キャバクラの“お酒”にまつわる暗黙のルール5選
「なに見てんだよ!」深夜の電車で出会った“女子高生”の正体にア然…「イライラが止まりませんでした」
「緊張していても、“本番”で実力を出せている人」の意外すぎる共通点
海外の最新研究で証明された「『根性論』を軽視してはいけない意外なワケ」
「推し活」が市場規模6000億円超のブームになったワケ。背景を心理学者が解く
「女性から自然と好印象を持たれやすい男性」に実は共通している特徴
「女性がいつの間にか好きになってしまう男性」に共通している3つの特徴
「邪魔だから押したのよ」満員電車で乗客を転ばせた40代女性。“目に余る迷惑行為”で乗客全員を敵に回した結果
「もう乗ってくんな!」終電間際の満員電車で“客を押し出す男”…他の乗客の“怒りの一撃”で予想外の結末に
満員電車は“地獄絵図”、もたれかかってくる人たちにヤンキーが激怒して「心の中で“ありがとう”と言いました」
朝の満員電車で、大声で電話する男性にイライラ…「静かにしてもらえませんか?」と注意したら“まさかの行動”に
東大生が考える「電車の中での残念な時間の使い方/効率的な時間の使い方」
この記者は、他にもこんな記事を書いています