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満員電車は“地獄絵図”、もたれかかってくる人たちにヤンキーが激怒して「心の中で“ありがとう”と言いました」

移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。

満員電車で踏ん張らなければ立っていられない状態に

通勤ラッシュ

※写真はイメージです。以下同

相馬加奈さん(仮名・40代)は新入社員時代、混むことで有名な路線を利用していた。毎朝の通勤時間は身動きをとるのも大変な状態だったという。 「現在はリモートワークも広がって、ぎゅうぎゅうに詰められることは少ないかもしれませんが、当時の通勤電車は本当に地獄絵図みたいでした」 ある日の通勤ラッシュで窓に手を当てて踏ん張るような姿勢になってしまったのだとか。 「みなさん体重を隣の人に預けるかたちになるので、車内のもっとも内側に乗ってしまった私は、窓を頼りに踏ん張らなければならず、とても辛い時間を何駅分か過ごしていました」 すると、次の駅で、男性2人組が乗車してきた。しかも悪そうな、いわゆる“ヤンキー”だ。 「こんな状況の中、その2人組が私の近くに流れ込んできたんです。そっちも嫌だなと思って、気になりながらずっと耐えていました」

ヤンキーが放った言葉に「ありがとう」

揺れるたびに、相馬さんの元に数人分の体重がのしかかる状態が続いた。相馬さんは「早く最寄り駅に着かないかな」と思っていた。そのとき……! 「てめぇの体重くらい、てめぇで支えろよ!」 ヤンキー風の男性が発した言葉で車内は一瞬、静まり返った。そして、乗っていた全員が本当に“自分の体重を自分で支える”ようになったのだ。 「男性の怒鳴り声に、乗客全員がドキドキしていたと思います。でも私はむしろ、“ありがとう”と心の中で言いました」 その後、相馬さんは会社の最寄り駅まで、誰にももたれかかられることなく、“自分の体重だけを支えながら”立つことができた。 「社会人1年目で、あの通勤電車を体験しながら、社会人は大変だなと思っていました。社会人としての洗礼とでも言いますか……電車が揺れれば隣の人にもたれかかるのも仕方ないと思っていました」 あのヤンキーの一言で意識が変わったという相馬さん。 「あれ以来、混んでいる電車で他人に寄りかかることはしていません。というより、本来、寄りかかる必要はないんです。自分の体重は自分で支えられますから(笑)」
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僅かな隙間をこじ開けて座るビジネスマン
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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