人間の強欲がゾウやトラを絶滅に【生態系を崩す違法ビジネス】
―[人類は[絶滅期]を迎えていた!]―
ニホンウナギの絶滅危惧種指定が話題になっているが、絶滅しそうなのはウナギだけではない。実は1年に4万種という、恐竜絶滅期以上の超スピードで“種の絶滅”が進んでいることが判明。人類は、史上最悪の“第6の大絶滅期”真っただ中にいたのだった!
◆ゾウやトラを絶滅に追いやる人間の強欲に天罰が下る!【違法取引】
生息数が減った野生生物をさらなる危機に追いやるのが「密猟」だ。毛皮や牙、角、漢方薬の材料やペットとして売るなどの「違法取引額」は年間で約1.3兆円といわれ、薬物や人身売買などとともに世界的な違法ビジネスの一大分野となっている。
NPO法人「トラ・ゾウ保護基金」の坂元雅行弁護士は「アジア各地でのトラの危機の大きな要因に、中国でのトラの骨を使った漢方薬の需要があります」と語る。
「現在、世界の野生のトラの数は約3200頭だと推計されていますが、’90年代頃から中国でのトラの需要が高まり、各国で密猟されているのです。インドでは1700頭しかいないベンガルトラが一日1頭のペースで密猟され、300頭ほどしか残っていないスマトラトラも密猟被害に遭っています。
中国のアモイトラは事実上絶滅したとみられています。中国政府はトラ骨の利用を禁止しましたが、現在も売買されているのが実情。中国の『トラ牧場』では、トラの骨が入った強精酒『虎骨酒』など、飼育しているトラを使った製品を牧場の客に売っています」(同)
アフリカゾウも大きな危機を迎えている。
「象牙目的の密猟が激増しています。アフリカ全体で’11年以降、少なくとも年2万頭以上のゾウが殺されています。’80年代に100万頭以上いたゾウは、密猟のため10年で半数以下に激減、『象牙戦争』とまで言われました。今回の危機はそれ以上かもしれません。
特にタンザニアでの被害が深刻で、同国に生息する約10万頭のうち毎年1万頭以上が密猟されています。最大の密輸先は中国ですが、ゾウの危機には日本も大きく関わっています。
’11年9月、象牙印章最大手の業者タカイチの会長と社長が、無登録の象牙を譲り受けて有罪判決を受けました。裁判で明らかにされた事実から我々が独自に推計したところ、タカイチが’05~’10年の間、違法に取得・流通させていた象牙は572~1622本。これは、当時日本で流通していた象牙印章の最大で半分にあたります。
そもそも登録象牙すら、本当に密輸品ではないのか疑問です。登録には厳しい審査がなく、在庫を持っていたことを第三者が証明すればよく、違法象牙の流通を防ぐのは難しい」(同)
密猟に遭遇したゾウは、本来のおとなしい性質から人やほかの動物を殺す凶暴な生き物になることもあるという。人間の強欲が生態系を崩し、しっぺ返しを食らうことになるのだ。
― 人類は[絶滅期]を迎えていた!【5】 ―
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