全国に蔓延する「ツツガムシ病」。アウトドアブームも一因か!?
エボラ出血熱やデング熱のニュースで感染症への危機感が高まる昨今。実はわれわれ日本人の身近なところにも、多くの感染症が存在する!!
◆アウトドアブームも一因!? “風土病”が全国に蔓延<ツツガムシ病>
「ツツガムシ病は油断できませんよ。昨年5月も、秋田県では15年ぶりに1人が亡くなりました。アウトドアブームで野山に入る人が増えているから注意が必要です」
⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=711746
こう警告するのは、秋田県健康福祉部健康推進課の職員だ。
ツツガムシ病は、「オリエンティア・ツツガムシ」という病原体を持つツツガムシ(ダニの一種)の幼虫に刺されて感染する。クチバシを皮膚に突き立てて、約10時間をかけて人の組織をゆっくりと消化し、体液を吸う。刺された人は体がだるくなり、頭痛や悪寒、40℃前後の熱に苦しみ、上半身に直径2~3mmの発疹が現れる。このとき治療が遅れると、数か月の入院。また、最悪の場合は死に至る。治療をしない場合の致死率は30%とも言われている。
かつてツツガムシ病は、秋田や新潟にだけ見られた風土病だったが、’70年前後には年間患者数は10人にまで激減した。だが’80年代から急に全国で再興。多い年には1000人近く、昨年も338人を記録した。
これは、’70年代までは「アカツツガムシ」が病気を媒介していたのだが(古典型ツツガムシ病)、’90年代に入ってタテツツガムシやフトゲツツガムシが媒介する「新型ツツガムシ病」が現れたためだと言われている。
国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦・前センター長はこう語る。
「自然破壊や農地開発、アウトドアブームの影響で、これらの虫に接触する機会が増えたこともツツガムシ病流行の一因かもしれません。これまで一部地域の風土病と思われてきたので、感染してもなかなか診断できないのが問題です」
診断されない患者は統計の10倍はいると推測する研究者もいる。
この病気はどうすれば防げるのだろうか? 前出の健康推進課職員はこうアドバイスしてくれた。
「感染防止のワクチンはありませんし、防虫スプレーも効果はありますが万全ではない。アウトドアでは長袖に長ズボン。帰宅したらすぐに着替えること。家族に感染しないように、衣類はすぐに洗濯して、お風呂に入る。それを習慣づけることですね」
<ツツガムシ病>
●日本人患者数338人(’13年)
●感染経路ツツガムシを媒介として
●致死率7%(未治療30%)
― エボラ熱より危険な[日本の感染症]【4】 ―

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