フグに匹敵する“貝毒”。加熱しても危険、重症化で記憶障害も
―[死を招く[オシャレな食べ物]]―
レジャーシーズン真盛り、海・川・山でBBQなどのおしゃれなアウトドアイベントを楽しむ読者も多いだろう。仲間や家族と青空の下でカンパイしながらの食事は格別のひとときだが――
◆二枚貝が持つ貝毒はフグに匹敵する!
川で魚を釣ってその場で焼いて食べるのも夏場の楽しみだが、川魚は寄生虫の宝庫。川の幸もしっかり火を通さないと危険だ。
「釣った鮎に塩を振って炭火で焼いて食べるのは定番ですが、鮎には横川吸虫がいて、腸炎症状を引き起こす可能性があります。川の幸でいうと、ほかにもサワガニには宮崎肺吸虫がいて、肺出血を引き起こします」(内科医の吉島聡氏)
「しっかり焼いたつもりでも、内臓までは火が通っていないことも多い。でも、最も寄生虫が寄生しているのは内臓なので、あらかじめ内臓は取り除いて焼いたほうが賢明でしょう。アウトドアイベントでは気が大きくなって『内臓が一番ウマいんだ』などといって箸をつける人もいますが、もってのほかです」(エフシージー総研の川上裕司氏)
では、衛生管理をしっかりして、どの食材もしっかり焼けば安心か?と思いきや、加熱しても死滅しない食中毒菌もある。それは“貝毒”だ。
「アサリ、カキなどの二枚貝が、毒素をもつ植物プランクトンを餌として摂取し、体内に毒を蓄積することで生じるものです。潮干狩り場のような水質検査された場所でも安心とは言い切れないですし、ましてや水質検査がされていない場所で、適当に採って食べたら当たってしまうというケースが、毎年多々あります」(吉島氏)
実際に初夏にかけて日本全国で貝毒による食中毒の報告が増え始める。菌ではない“毒”のため、症状が重症化することもある。
「腸炎になるくらいならまだよいほうで、神経症状に影響を及ぼしてしまう『まひ性貝毒』は、しびれ、呼吸困難を引き起こして命を脅かします。さらに海外では『記憶喪失性貝毒』により、記憶障害が残ったという報告例もありますよ」
夏の思い出をつくるはずが、肝心の記憶を失ってしまっては元も子もない。
<鮎>
小腸に寄生する横川吸虫によって腸炎症状が起こる可能性がある。幼虫は淡水魚のうろこや筋肉に寄生していて、幼虫をもつ淡水魚を生で食べることで感染。シラウオやウグイも感染源となる
<鯉、フナ>
肝臓内の胆管に寄生する肝吸虫によって、肝炎や肝硬変を引き起こす。胆管のなかで多数の虫卵が固まって胆石ができてしまうこともある。成虫は20年以上生きるため、治療しないと慢性化
<サワガニ>
肺に虫嚢をつくって寄生することが多く、ひどい場合は肺出血を引き起こす。肺だけでなく脳、胸腔、腹腔などに寄生することもある。モズクガニも同様に感染源となる
【吉島聡氏】
関西医科大学付属病院、関西医科大学などを経て新宿メディカルクリニック院長。内科医の立場から健康な体を実現する生活習慣を提唱している
【川上裕司氏】
暮らしにまつわるさまざまな研究を専門とするエフシージー総合研究所・暮らしの科学部部長。東京家政大学大学院非常勤講師。農学博士
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