雑学

生々しい猫のカタマリを見よ!未来の芸術家が集う「ヴァニラ画廊大賞」大賞受賞者インタビュー

大賞作品「spot」

 東京の一等地、銀座にてひときわ異彩を放つギャラリー「ヴァニラ画廊」。そんな同画廊が主催する「第三回ヴァニラ画廊大賞」の展示会が3月2日(月)~14日(土)の期間にて開催される。作家の都築響一氏をはじめ、美術評論家の南嶌宏氏、そして美術史研究家の宮田徹也氏による審査の結果、横倉裕司さんの「spot」が大賞に選ばれた。今回、その横倉さんに受賞の喜びと創作秘話などを伺った。

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――大賞受賞おめでとうございます。受賞の知らせを聞いてどう思いました?

 ありがとうございます。12月に受賞の電話があったんですが、ちょうど職場の同僚と送別会の最中でした。入選できたらラッキーくらいだったので、まさか大賞に選ばれるとは想像もしてませんでした。だから、「本当?本当?」って何度も思いましたね。

――審査員も満場一致のようでしたが、特に印象に残った選評はありますか?

 それはもうみなさん嬉しかったです。ただ、ヴァニラ画廊を知ったのが、都築さんのラジオでの発言だったので、その都築さんに評価していただけたのは嬉しいです。ようやく苦労が報われたというか。

――受賞作「spot」を構想するきっかけは何だったんでしょうか?

横倉裕司さん

 今、自分のアトリエが稲城市にあるんです。アトリエといっても平屋の一画の倉庫なんですけど。そこ、すごいノラ猫が多いんです。たまにそれを眺めてるんですけど、いつもいたはずの猫が、いつの間にか別の猫になってたりするんです。

つまり、そこに“猫がいる”っていう構造は不変なんだけど、猫の集まりの中身は常に流動していて継続している。それ、なんか面白いなぁって思ったのがきっかけです。作品名の「spot」も、猫が1か所に固まっているイメージが元になってます。

――そもそも動物が好きというわけではないんでしょうか?

 むしろ実家はペット禁止でした。高校3年のとき、美術予備校の課題で動物を粘土で作ったんです。ヤギとかウサギを約1週間、飼育したんですけど、そこで生きているものを粘土で作るときのギャップというか、生命感や生々しさに衝撃を受けたんです。

――意外と身体が大きかったとか?(笑)

 そうそう、あとはニオイとかフンとか(笑)。今までイラストの動物ばかり接していたので、本物は可愛くないなぁ……って。あと、大学生のとき、牛舎にスケッチをしに行ったんですけど、そしたら、そこがボロボロの建物で通路もすごい狭い。当然、牛も綺麗じゃなくて、めっちゃヨダレとか垂れてたんです。でも、そのほうが良かったんです。

――それは、幼少期にペットと触れ合えなかった反動なんですかね?

作品は細部まで作り込まれている

 あー、それは考えませんでした……でも、そうかも知れません。昔、『スーパーマリオ』ってゲームあったじゃないですか。あれを親に買ってもらえなくて、自分で横スクロールの絵を描いて遊んでたんです(笑)。だから、欲しいものを絵にするっていうのは、案外その通りかも知れません。

――ちなみに影響を受けた画家とか彫刻家はいるんですか?

 ミケランジェロは好きですね。実物を観にイタリアにも行きましたが、やっぱりすごかったですね。初期の代表作に「ピエタ」っていう彫刻があるんですけど、すごく作り込まれていている。それはそれで良いんですが、晩年の作品で同様のテーマとした未完の作品「ロンダニーニのピエタ」っていうのもあるんです。それは顔も定まってなくて、作り込み具合も浅い。ただ、作りすぎないで、見る側に自由な解釈を促していて。そういう良さもあるのかなって思います。

――最後に展示会について一言、お願いします

 受賞された方の作品をすべて拝見したわけではありませんが、ほかの美術館や受賞展では見られないような作品がここでは見られます。そういう画廊も今は数少ないので、ぜひ見に来ていただけたら嬉しいですネットの画像データだけでは伝わらない、実物でしか感じられない部分があると思いますので。

「ヴァニラ画廊大賞展」は3月2日(月)~14日(土)にて開催。入場無料。

大賞作品のほか奨励賞、審査員賞も展示される。詳しくは公式ホームページ(http://vanilla-gallery.com/)にて

<取材・文/日刊SPA!編集部>




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