ドリフトの女王・味元美智恵を直撃「走り屋の激しいところに惹かれました」
―[もぎたて!女子アスリート最前線]―
~もぎたて!女子アスリート最前線 第1回~
けたたましいエンジン音を轟かせながら、猛スピードでコーナーに突入。そのままスピードを落とさず、キキキィーンと甲高い音とともに車体を横に滑らせながらコーナーを抜ける。黒いタイヤの痕と焦げたゴムの臭いを残しながら、次の直線へと突入していく。
ドリフトの技術や迫力を競い合う、D1(全日本プロドリフト選手権)選手による練習風景。停止したマシンからドライバーが降りてくる。「どんな元ヤンの兄ちゃんが出てくるのか?」と思いきや、脱いだヘルメットの中から長い黒髪をファサーッと揺らして登場したのは小柄な女性。09年、女性で初めてD1SL(D1ストリートリーガル)の予選を通過した味元美智恵(あじもと・みちえ)選手だ。
「現場で見ると迫力が違いますよね? 私が『ドリフトをやりたい』と思ったのは18歳のとき。バイト先の友達に『兄が走行会で走ってるから観に行こう』と誘われたのがキッカケでした。会場で走り屋たちが思い思いのカスタムカーで技術を競い合う、激しい走りに惹かれたんです。『私もやってみたい』って思って、アルバイトで50万円を貯めました。ソアラ、マーク・ツーと候補も多かったけど、『ドリフトに向いてて、部品も多い車』ということで、シルビアのイチサン(シルビアS13)を買ったんです。普通にドレスアップしたセダンも好きですよ。セドリックとかクラウン。あ、別にヤンキーだったわけじゃないですけど(笑)」
太平洋を望む高知の港町で育った彼女。休日ともなれば愛媛県の瀬戸内サーキットまで足を伸ばし、ドリフト技術を磨く毎日。
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「ドリフトの世界では女性ドライバーが少なかったので、どうしても自分より技術が上の女性を見ると『なにくそっ』って気持ちが湧いてきます。『まずは日本一の女性ドライバーになろう』というのが最初の目標でした」
四国大会、西日本統一戦と経験を積んでいく。10年には、D1GPの下位カテゴリーに「D1レディースリーグ」が新設。初年度には激しいクラッシュを繰り返しながらも、3年連続で2位になり、13年には念願の優勝を果たす。
「とにかく練習、練習ですね。ガンガン走り込んでうまくなるってスタンスでやってきましたが、最近のフリー走行では、無線をつけて3周を回って、ビデオで確認といった、大会を想定した練習で違う境地が開けてきたように思います。レディースリーグ日本一はダテじゃないってところを、本戦でも見せたい。車のポテンシャルも高いので、まずは単走優勝を目標にしたいですね」
全国から集められた男性選手たちの中で、一際目立つ小柄な女性の存在から、今後も目が離せない。
取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/丸山剛史
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