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元レースクイーンが社長に転身「融資が降りず給与ゼロ」を乗り越えて

 華やかな衣装やコスチュームに身を包み、サーキットの“華”として活躍するレースクイーン。モータースポーツに参戦するチームの広告塔として欠かせない存在である。  レースクイーンの仕事をきっかけにタレントやグラビア、アイドルデビューする女性も多いなか、起業家としてセカンドキャリアを歩んでいるのが浅井マリカさん(31)。
浅井マリカ

元レースクイーンで株式会社ゼロストーリー 代表取締役の浅井マリカさん

 日本で最も人気の高い「SUPER GT」でレースクイーンを務めた経験があり、現在は撮影スタジオを2店舗経営する社長として、ビジネスを営んでいる。元レースクイーンから起業家へ転身した理由や今後の展望について話を聞いた。

北海道から上京、レースクイーンの道に

浅井マリカ 浅井さんは北海道出身。社会人時代はアパレルの会社で3年ほど働いていたという。 「会社を辞めてからは、イベントのコンパニオンやポスター広告のモデルなどをしていましたが、やっていくうちに『北海道では仕事の数が少ない』ことに気づいて。仕事の幅を広げようと思っても、やはり東京に比べれば限られてしまうなと感じたんです。  その頃、知人が東京で同じような仕事をしていて、『登録制も事務所に所属することになるが、1つの事務所に専属契約をしなくても、複数の事務所に登録できて仕事が選べる』と聞いていたこともあり、次第に上京したいという気持ちを強く抱くようになりました」  まず手始めに、札幌から東京へ遠征し、いくつかコンパニオン事務所への登録を行ったそうだ。  仕事を探していくなかで、偶然にも見つけた「東京モーターショー」のブースコンパニオンのオーディションに応募したところ、見事合格。  これが浅井さんにとって、レースクイーンを始める転機になったのだ。 「私にとって初めての大きなイベントで、コンパニオンとして企業ブースの前に立っていたんですが、そのときに『RQ(レースクイーン)はやっているの?』とよく声をかけられたんですよ。当時は全くレースクイーンのことを知らなかったんですが、いろいろ調べていくうちにレースクイーンになれば芸能やモデルの仕事が決まりやすいことがわかってきて。こうした背景もあって、札幌にいるより東京へ移住してレースクイーンを目指すことに決めたんです」

「想像以上に大変だった」レースクイーン1年目の駆け出し時代

レースクイーン時代

レースクイーン時代の浅井さん

 レースクイーンとして大きな舞台に立つことを目標に、浅井さんはさまざまなオーディションに応募する。しかし、そのハードルは想像以上に高かった。 「全然受からない」  容姿が端麗でファンを魅了する華やかさや、衣装映えするプロポーションの良さなど、レースクイーンになるための要素はいくつかあれど、ライバルが多い状況でレースクイーンに選ばれるのはそう簡単なことではない。  それでも浅井さんは「スーパー耐久」のオーディションに受かり、晴れてレースクイーンデビューを果たす。 「目指していたスーパーGTには及ばずでしたが、レースクイーンを1年間やっていくなかで、ひとつずつ経験を積んでいこう。そう思いながら、毎日生活していました。事務所のマネージャーからは『毎日欠かさず自撮りの写真をSNSに投稿した方がいい』とアドバイスをもらっていたので、あまり触れてこなかったSNSも頑張るようになったんです」 レースクイーン時代 それでも最初のうちは、SNSに毎日投稿するのが苦痛だったとか。 「SNSで何かを発信するのが苦手だったんで、慣れるまでは大変でしたね。ただ、レースクイーンはある種アイドルのような存在なので、ファンがつかなければやっていけない。そのため、最初はフォロワー1000人を目標にし、いろいろと試行錯誤しながらSNSをやっていました」  また、レースクイーン駆け出しの頃は、「とにかく食べていくことを優先した」と浅井さんは話す。登録したコンパニオン事務所から届く案件のメールを毎日チェックし、日給や仕事の内容を見て取捨選択していたとのこと。 「レースクイーンだけだと食べていけないので、イベントコンパニオンも掛け持ちしていましたが、どうしても波が激しい仕事で収入面も結構かつかつでしたね。それでも、美容や体型維持のためのパーソナルトレーニングにもお金をかけないといけない。食事も誰かとご飯行くのは好きなので、会食は楽しみつつも、自宅では食事制限したりと不節制な生活にならないよう気をつけていました」
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30歳目前で社長に転身「ずっとレースクイーンはできない」
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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