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ビットコインは今“買い”なのか?

“夢の通貨”のはずが、日本の大手取引所が破綻し、日本はおろか世界のビットコイン業界にネガティブな印象を与えた事件から約1年。どん底まで堕ちたビットコインが再び脚光を浴びているという

◆ビットコインは今“買い”なのか?

なぜ[ビットコイン市場]は再び活況なのか?

’15年7月、ギリシャ・アテネ郊外の文具店にオープンしたビットコインATM。現金を入れてビットコインを購入、海外送金に利用する

 ルーツを紐解けば’09年1月にビットコインは誕生した。その後取引高、ユーザー数ともに低迷を続けるも’13年11月、中国で注目されたことやFRB(米連邦準備制度理事会)による「ビットコインを何らかの形で監督または規制する権限はない」との議事により1ビットコインが1150ドルまで急上昇。’14年2月のマウントゴックス社事件で大幅に落ち込むも、その後は300ドル前後で推移している。一見、低迷しているようにも思えるが、さにあらず。

 新興ビットコイン販売所「bitFlyer(ビットフライヤー)」代表取締役・加納裕三氏が話す。

「こうして売買のバランスが保たれ取引高が落ち着いているということは、ビットコインに信用ができつつあるということでしょう」

 もちろん不安材料もある。ビットコインの共通ルールであるプロトコルによってビットコイン総量の上限(2100万コイン)が当初から決められており、年々生成(発掘)が困難になっている。すでに総量の約半数が生成されており、’16年の夏ごろにはビットコインのマイニング額が25ビットコイン(約5000ドル)から12.5ビットコインと半額に下げられると予想されている。この前後はビットコインの動きが不安定になるとビットコイン事情に詳しい早稲田大学・岩村充教授は予想する。

「そのとき、ビットコインの価格が2倍になれば、マイニングの採算(=巨大なコンピュータを動かす電気代や通信費等コストもかかる)は変わりませんが、マイナーの数や現在とマイニング量が変わらなければ価値は上がるはずなのです。しかしそうならなければ、報酬が半減したマイナーたちは、うまみのないビットコインから逃げ出すでしょう。すると今ビットコインをマイニングしている人たちはその技術を使い、安い投資で他の暗号通貨をマイニングしはじめる可能性があります。つまりビットコインへの投機が“負け”となる危機もはらんでいるのです」

なぜ[ビットコイン市場]は再び活況なのか? 世界的には注目は集まっているが、日本でビットコインへ参入することは果たして儲けのチャンスなのだろうか。日本デジタルマネー協会理事・大石哲之氏は、今後の世界経済の不安を見据えながらもその将来性に期待する。

「ビットコインの価格はピークから、5分の1ほどまでに下がり、かつてないほど安くなりました。さらにさまざまな“危機”に見舞われても動揺しない堅牢なシステムを構築しつつあります。将来、価値の保存として金などと並ぶ手段として認識されるのは間違いないでしょうね。今後、1000ドルどころか、1ビットコインあたり1万~4万ドルまで上がるという説もあり、さらに値上がりする要素もあります。国際決済に使われている資金の量や、金などに退避しているカネのほんの0.1~1%でもビットコインに流入すれば、それくらいの価格上昇になると予測されているのです」

【加納裕三氏】
東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマン・サックス証券などを経て’14年1月、日本最大のビットコイン取引所「bitFlyer」を創業、現社長。アジアのビットコイン業界をけん引する

取材・文/高木瑞穂 撮影/遠藤修哉(本誌) 写真/時事通信社




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