硫黄島ではどのように遺骨収集が行われているのか? 遺族と共にヘリコプターで…
東京から南に1250km。ここ硫黄島には太平洋戦争において戦死・行方不明となった日本兵たちの骨が埋まっている。厚生労働省が主催する遺骨帰還事業には多くのボランティア団体が参加。いまでは半数にのぼる約1万人分の遺骨が収集され、現在も活動は続いている。
とはいえ、現地でどのような作業が行われているのかはあまり知られていない。今回は実際に硫黄島での遺骨収集に取り組んだ経験のある女性・佐々木さん(仮名・20代)にお話を伺うことができた。戦争に関して、特別な知識や関心があったわけではない彼女であるが、遺骨収集を通じてなにか心境の変化はあったのだろうか。
佐々木さんは硫黄島を含め4つの地域に遺骨収集で訪れたことがある。どこも日本兵にとって激しい戦場となった場所だ。はじめて訪れたのは日本ではなく海外のある地域。きっかけは何だったのだろうか。
「遺骨収集のボランティアに参加していた友人に誘われ、“なんとなく”という気持ちで参加したんです。大学生だった当時、海外に行ってみたいという漠然とした考えがありました。英語もできないので1人で行くのは怖いなと思っていた矢先に紹介されたので、特に深く考えることもなく参加したんです」
今回話を聞いた硫黄島へは、埼玉県にある入間基地からヘリコプターで向かった。搭乗者は学生と厚生労働省の職員と兵士の遺族。全部で20名ほど。島に着くと飛行場近くの宿泊施設に案内された。
硫黄島ではシャベルなど手作業で遺骨収集を行う。亡くなった兵士たちは土の中に一体一体埋葬されているわけではない。最低限の深さに掘った穴に次々と投げ込まれており、無数の遺骨が重なり合っている。しかし、周径約22kmある硫黄島。どのように遺骨を探し当てるのだろうか。
「硫黄島にはいろいろな団体が遺骨収集に訪れているので、前回の作業を引き継いで行うことになります。初期段階として、残った資料を元に骨が埋まっているであろう地帯を割り出すだけのボランティアもあるんです」
収集した骨はその場でいったん白い袋に詰めてゆく。分かる範囲で1体につき1つの袋を使う。足の先から入れ、最後に頭骸骨を収める。硫黄島など国内の場合、人物が特定できた遺骨はそのまま遺族へ渡り、分からない遺骨は靖国神社に程近い千鳥ヶ淵戦没者墓苑に埋葬される。
ちなみに海外での遺骨収集の場合は、病原菌などの観点から土が付着したままでは遺骨を国内に持ち込むことができないため、必ず火葬をする。個体として識別できる遺骨は一体ずつ火葬し、判別出来ない状態の場合はまとめて火葬する。遺骨は、木材を組んで1体1体灰になるまで燃やしていくとのこと。
「収集が終わった後は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で行われる慰霊祭にも参加しました。慰霊祭には日本の各政党の代表者の席が用意されています。代表が出席することもありますが、党の方針で代理人を立てるところもありました」
硫黄島にはヘリコプターで向かう
遺骨収集はどのように行われる?
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