渋滞防止だけじゃない!? [新名神にできた秘密兵器]はまるでエレクトリカル・パレード
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
この年度末は多くの新規開通があり、高速道路マニアとしてうれしい悲鳴だった。特に3月18日は、首都高C2板橋―熊野町間の拡幅という、個人的な18年来の悲願が実現するとともに、新名神の川西―神戸JCT間という重要路線の開通もあった。
川西という地名になじみがある人は多くはなかろうが、ぶっちゃけ新名神の高槻JCT―神戸JCTが全線開通し、関西最大級の渋滞名所だった中国道・宝塚トンネルをスルーする、ダブルネットワークが完成したのである。
ということで、開通の1週間後、現地に遠征してまいりました。
名神の高槻JCTから新名神に乗り入れる。つい本線と勘違いしてしまいそうになるが、しばらくはJCTのランプウェイ。曲率のキツいカーブが連続する。制限速度は60km/hなので注意が必要だ。
本線になると、山間部をブチ抜いて新名神らしいカーブと勾配の小さい快適な区間が続く。道路公団民営化の際、コストダウンのために片側3車線から2車線に設計変更されたのが微妙に残念だが、いまさら贅沢も言えない。第二京阪と合わせ、京都-神戸間の完全複線化が実現した効果は絶大だ。
NEXCO西日本の発表によると、開通後1週間の調査では、名神・中国道は交通量が25%減少し、渋滞回数も開通前の17回から5回に激減。最大渋滞長も19.9kmから9.8kmに短縮された。それでもまだ渋滞が発生していることが逆に驚きだが、開通直後でまだ周知が行きわたっていない面もある。今後新名神への交通シフトが拡大すれば、渋滞はもっと減少するだろう。
ところで、新名神の新規開通区間を実際に走ってみて、ビックリ仰天したことがある。それはトンネル内のペースメーカーライトの美しさだ。
上り坂やトンネル内での速度低下による自然渋滞を緩和するため、LEDランプを連続的に点灯させて動かす試みは、いろいろな区間で行われている。首都圏ではアクアトンネル上り(浮島JCT手前)や、首都高3号線池尻―三軒茶屋間、山手トンネル内回り等があるが、新名神のペースメーカーライトは従来のものと異なり、トンネル内いっぱいにグリーンの照明の輪が、制限速度(100km/h)で移動する。その美しさ、未来感は格別だ。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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