大株主・東京都へ最後のご奉公? 首都高新規開通の「オリンピック道路」の効果は信号待ち1個分+α
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
3月10日、首都高晴海線の豊洲-晴海間1.2kmが開通した。東京都内の首都高の新規開通はこれが最後になる。首都高は、前回の東京オリンピック(1964年)に向け、東京都が主導して建設が始まった道路だけに、首都高研究家としては“都内最後の新規開通”に感慨ひとしおだ。
晴海線は首都高湾岸線から都心方面へ延びる盲腸線で、銀座や晴海などの都心部から湾岸線へのアクセス向上が目的である。2020年東京オリンピックでは、晴海地区に選手村が設置されることもあり、一種の「オリンピック道路」であるとも言える。
かつて晴海線は首都高C1と銀座付近で接続する計画があり、新富町出口の先の旧築地川の川床(現在は公園や暗渠)には、その遺構がある。さらには、そのまま皇居の下をトンネルで通過して新宿方面までつなげる弾丸道路構想も存在したが、それらの計画は現在消滅している。
つまり晴海線は、このまま晴海出入口が終点の盲腸線のままで終わる。
そのため晴海線は首都高としては珍しい片側1車線だ。しかし交通量が約9000台/日と、C1等主要路線の10分の1程度しかないので、常にガラガラ状態。開通翌日に実走した際も、前後に車影はなかった。
今回の1.2km延伸を厳しく評価すると、効果は「信号を一個飛ばせるだけ」。首都高側も開通による時間短縮効果を、わずか3分と予想している。ぶっちゃけ信号待ち1回分+αというわけだ。
もちろん、晴海線延伸が無意味というわけではない。羽田空港や成田空港からオリンピック選手村に向かう場合、晴海出口から1kmもないので、国際的な印象はいいはずだ。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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