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昭和vs平成、サッカーファンが楽しめた時代はどっち?

今上天皇の退位で、来年には幕を下ろす予定の平成。そんな平成とはいったいどんな時代だったのだろうか……と振り返りたいところだが、最近はなぜか「昭和かよ!」と言いたくなるような騒動や事件が続出している。そこで、さまざまな分野の昭和・平成の状況を比較。それぞれの時代の良しあしを確認して勝敗をつけながら、新時代に何を残すべきかを考えていく。 [昭和 VS 平成]十番勝負

スター選手が光る昭和 vs 情報を駆使、全員サッカーの平成

 背番号「10」の選手が華麗なシュートを決める。『キャプテン翼』の大空翼、もしくは母国・アルゼンチンをW杯優勝に導いたマラドーナ。「ひとりの天才の活躍があってのサッカー」。そう感じた、昭和のサッカーファンも多いのでは? 「南米・ドイツ・イングランドなどの強豪国も同じですが、日本代表に限れば、エース偏重型のチームの成績は芳しくありません」  長年、日本代表を取材するスポーツライター・戸塚啓氏は語る。’85年W杯アジア地区予選で、日本代表は連続得点記録(6試合連続)を誇るFW・木村和司を中心に躍進。しかし最終戦で韓国に惜敗、初出場はならなかった。 「’98年が日本代表のW杯初陣。これは’93年のJリーグ発足が大きかった。ジーコなどの一流選手、身体能力の高いアフリカ選手と日常的に試合できる。選手が肌で世界を感じられるようになりました」  また’91年から「WOWOW」が欧州リーグ戦を放映するように。今までは4年に1回のW杯でしか世界のサッカーを視聴できなかった選手、指導者のレベルアップにも繋がった。加えてIT化で、各国代表の情報合戦が激化する。 「エースをどう抑えるか。戦略が重視されるようになり、3―5―2などの布陣も意識され始めます。相手の強烈な個性を消し、粘り強く組織で勝つチームが増えます」  今回のW杯でも、メッシのアルゼンチンなど、強力なスタープレーヤーを擁する国の敗退が目立った。組織の中で攻撃も守備もできる選手を揃えることが、世界で勝つための条件だと戸塚氏は話す。 「日本代表も組織に徹した’02年、’10年はベスト16。選手の特徴を前面に押し出そうとした’98年、’06年、’14年は1次リーグ敗退です。今回は両方が噛み合った稀有な年。ハリルホジッチ前監督の組織力を大切にする考えと西野監督の個を重視する教えが化学反応を起こしましたね」
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