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日本を小国に叩き落とした「平成の政治」とは一体なんだったのか/倉山満×KAZUYA

「平成」が少しずつ遠くなり、若い世代には当時の首相も徐々に歴史上の人物へと変わりつつある。しかし、失われ続けた31年は今も我々に重くのしかかったままだ。なぜ日本人は報われないのか? 日本を小国に叩き落とした平成の政治とは一体なんだったのか? 9月27日に『沈鬱の平成政治史』を上梓した憲政史研究家・倉山満氏と、平成とともに年を重ね、政治系動画配信者として活動し続けてきた10年間を近著『日常は情報戦』(いずれも扶桑社刊)で綴ったKAZUYA氏に語ってもらった。
倉山満氏 KAZUYA氏 『沈鬱の平成政治史』『日常は情報戦』

(写真左から)政治系動画配信者・KAZUYA氏と憲政史研究家・倉山満氏

イギリス憲法学の不健全が日本の野党

KAZUYA:僕は昭和63年生まれなので、実質、自分の人生はほぼ平成ですね。’12年から政治や時事についての動画投稿を始めましたが、「正論が通じない」という思いはどんどん強まっています。 倉山:本当にその通りです。メディアの多様化も相まって、信じたいものしか信じない世の中になっています。ちなみに、記憶にある最初の総理大臣って誰ですか? KAZUYA:橋本龍太郎ですかね。 倉山:橋龍さんは学生時代にお会いしましたが、面白い人です。番記者になると悩みが吹き飛ぶくらい楽しいと評判でしたが、平成時代に絶大な権力を握った竹下派の序列では4番手なんです。上から順に、竹下登・青木幹雄・野中広務・橋本龍太郎です。 KAZUYA:自民党における権力闘争の激しさ、非常にドロドロしていますね。 倉山:イギリス憲法学から見ると、健全です。政治も経済も、近代は人の欲望を倫理で縛るのではなく、いかに生かすかという仕組みで動いています。政治家は権力欲で闘争するもの、人は「儲けたい」と思うもの。前者が憲法論や、憲政論に始まる立憲政治、後者がアダム・スミスの自由主義経済です。その点からすると、今の野党がいかに不健全なことか――。

枝野代表時代は安倍内閣に対して“全戦全勝”

KAZUYA:野党第一党が万年2位ですからね。しかも、与党ではなく3位の維新を潰しに行くという……。 倉山満氏 KAZUYA氏 『沈鬱の平成政治史』『日常は情報戦』倉山:昭和時代の社会党以来、日本の野党はずっとそうです。立憲民主党の枝野幸男前代表の支持者によれば、枝野代表時代は安倍内閣に対して“全戦全勝”だそうです。 KAZUYA:え、それは、パラレルワールドか何かの話ですか(笑)。 倉山:与党に勝つのではなく、野党第一党を死守するのが勝利という変な基準なんですよ。イギリス憲法学者が「不健全」と言っている状態が日常化しているのが、日本の憲政です。
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陰謀論ではないですが、政治家や官僚は「日本を潰したいのかな」とさえ思います
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日常は情報戦

我々はなぜ偽情報に踊らされ、荒唐無稽な言動に出てしまうのか

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