深刻なトラックドライバーの高齢化問題、希望は自動運転…?
物流業界の労働環境が過酷だというニュースは、みなさんも聞き及んでいることでしょう。主な問題点は2つ。長時間労働と高齢化です。これらは日本に限らず世界的な問題になっているため、トラックなどを製造する世界の商業車メーカーも解決に取り組んでいます。その解決策の1つが自動運転。乗用車でも少しずつ取り入れられていますが、商業車の自動運転は今どうなっているんでしょうか?
物流業界を支えるプロフェショナルドライバー不足が深刻だ。国土交通省物流政策課の最新調査によると、日本では、この10年で社会問題化するほどドライバーの不足が顕著になり、運送業を営む企業の63%が「不足」、もしくは「やや不足」と訴えている。いわゆるトラックドライバーに対する有効求人倍率は高く、全職業の約2倍と、人手不足の解消は待ったなしだ。
トラックドライバーの仕事は多種多様。集荷のためにトラックを走らせ、指定の場所に納品し、営業所に戻って伝票整理をするだけではない。顧客獲得の営業だって行なう。加えて車両管理や運行前点検もドライバーの仕事。まさに長時間労働である。
ちなみに、荷物を積み卸すことを「荷役作業」というが、客先で荷役を行なうためには、積み込む荷物を待たなければならない場合がほとんど。過剰なまでのジャストインタイム化によるシワ寄せとも言われているが、この待ち時間は平均して1時間45分で、2時間以上待たされる例も物流全体の28.7%にまで及ぶ。そんなこんなでトラックドライバーの平均的な業務時間(拘束時間)は13時間27分(1時間23分の休憩含む)。一日の半分は仕事漬けなのだ。
「がんばったぶんだけ稼げればいいじゃないか!」は昔の話。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、全産業の年間所得額491万円(年間労働時間2136時間)に対して、大型トラックドライバーは同454万円(同2604時間)、中小型トラックドライバーは同415万円(同2592時間)。これを時給換算で比較すると全産業を100%(約2298円)とした場合、大型は約75.8%(約1743円)、中小型は約69.6%(約1061円)。現状、トラックドライバーの所得は、厳しい労働環境に見合う額ではない。
西村直人=文 Text by Nishimura Naoto
長時間労働&高齢化で物流業界は大変!
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