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「国民が年をとった」という悲しい現実。コロナショックで浮き彫りに

 4~6月期のGDP改定値は戦後最悪の前期比年率マイナス28.1%を記録(8日、内閣府発表)。もはや誰しも“失職”は他人事ではない。働き盛りの10人に1人が失業者となったとき、考えられるのが少子化・人口減少だ。国が総崩れする懸念さえある中、我々はどのように生きてゆくべきなのか? ベストセラー『未来の年表』の著者である河合雅司氏に話を聞いた。

出生率が激減し国力が低下するも、「産業構造の変化」は生き延びるチャンス!?

[失業率10%]の恐怖

河合雅司氏「少子化の加速による国力の低下が、最大の懸念です」

 住宅ローン破綻や生活保護の受給など、失業率が高まることで苦しい思いをする人たちが多く出てしまうのは残念ながら避けられません。ですが、私がそれ以上に懸念しているのは中長期的な損失。危険信号がともっていた日本の少子化・人口減少に拍車がかかり、経済危機から脱するための国力そのものが失われてしまうことです。  コロナ禍であまり報道されませんでしたが、昨年の合計特殊出生率は1.36に激減。そこに失業率10%、賃下げなどが重なると、さらなる低下が避けられません。  失業者の増加で出生率が急激に下がると、将来の働き手・消費者が激減し国内マーケットはより加速度を増して縮小します。一方、オイルショックや東日本大震災、リーマン・ショックと、日本はこれまで何度も経済危機を乗り越えてきましたが、それらと今回が大きく異なるのは「国民が年をとった」という悲しい現実なんです。  出生率が今のペースで推移しても今後20年で1400万人もの働き手が減るとされていたわけですから、失業率10%でこれ以上出生率が激減すると、いよいよ国として総崩れする懸念さえ出てきます。

兼業・副業も視野に入れるべき

 その一方、私は失業率の高まりそのものは1~2年で収束するのでは、と見ています。 中高年サラリーマン 今後1000万人以上も働き手が消えていく時代に、職業さえ選ばなければ働き口がなくなるなんてことはあり得ません。介護や農業のように外国人労働者で穴埋めしなければならないほど慢性的な人手不足で悩んでいた業種は数多あります。もちろん、収入が下がる可能性はきわめて大きいですが、兼業・副業も視野に入れるべきです。
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コロナがなければ一生その会社で働けていたのか
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