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利回りマウント、元本7割保障etc. 投資詐欺にひっかからないためには「投資の常套手段を知れ」

 老後などの将来不安やFIREへのあこがれなどから、投資を始める会社員も少なくない。短期間で多額の資産を増やそうとするがゆえに、時には高配当や元本保証をうたう怪しげな投資商品に騙されてしまうことも……。  経済学者の上念司氏は、「投資詐欺にひっかからないためには、詐欺のディテールを追うことが必要」と指摘する。
『経済学で読み解く正しい投資 危ない投資』

『経済学で読み解く正しい投資 アブない投資』(上念司・著)

 上念氏の新刊『経済学で読み解く 正しい投資、アブない投資』より、実際の事件を参考にした投資詐欺師のスキームを紹介する。(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)

「億単位で足りない」との言葉からはじまった詐欺

『経済学で読み解く正しい投資 危ない投資』

※写真はイメージです(以下同)

 まずはホラーストーリーでビビらせて、ボッタクリ商品を買わせるという詐欺はそこら中に転がっています。たとえば、最近こんなニュースがあったのをご存じでしょうか? 「今の給料だけでは、君の人生にかかるお金をまかなうことはできないよ。億単位で足りない」。埼玉県の会社員男性(27)は2019年10月、知人の紹介で知り合った外資系保険会社員の男にそう言われた。  男性は当時、社会人2年目で、金融機関で働いていたが、営業ノルマを達成できず職場にもなじめなかった。年収は手取りで約300万円。「投資や副業をやってみたいと考えながら、何も行動できていなかった」と振り返る。 「投資で稼いだ金で高級腕時計を毎月買い替えている」「年収は1000万円を軽く超える」。男の言葉は魅力的だった。海外の投資事情など自分の知らない世界を広げてくれる存在で、「先生」と慕うようになった。  まもなくして「先生」から紹介されたのが、投資コンサルティング会社「フリッチクエスト」(東京)への投資だった。海外で資金を運用するとして、「月利4%で元本も7割保証される」と勧誘された。  社員に会ったのは同年12月。「手元に資金がない」と明かすと、「結婚資金」名目で消費者金融約10社から金を借りるよう指南された。言われた通り計1000万円を借りて、フリッチ社の本社に持参した。手数料100万円を差し引いた900万円を投資した。 【引用:「稼いだ金で高級時計」「年収1000万軽く超す」…若者狙う投資詐欺、甘い言葉信じて「後悔」『讀賣新聞オンライン』(2023年6月2日)】

ディテールから、投資詐欺の常とう手段を知る

『経済学で読み解く正しい投資 危ない投資』 まるで消費者保護を訴える政府のパンフレットから抜粋したかのような、典型的な詐欺です。大変よい事例なので、「逐条的」に解説しましょう。詐欺の手口の本質を知るにはディテールを押さえるのが一番ですから。 ・「今の給料だけでは、君の人生にかかるお金をまかなうことはできないよ。億単位で足りない」。埼玉県の会社員男性(27)は2019年10月、知人の紹介で知り合った外資系保険会社員の男にそう言われた。 ↓  人生に必要なお金を計算させ、いまの年収と比較。これ詐欺師の典型的なセットアップです。ネタとして利用されるのがロバート・キヨサキの著作『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)やそれのゲーム版の『キャッシュフロー』などです。  これらの媒体を使って、理想と現実とのギャップを意識させたうえで、不足している金額を自分で計算させます。 ・男性は当時、社会人2年目で、金融機関で働いていたが、営業ノルマを達成できず職場にもなじめなかった。年収は手取りで約300万円。「投資や副業をやってみたいと考えながら、何も行動できていなかった」と振り返る。 ↓   この考えは基本的には正しい。確かに金融機関で働いても将来的な収入は知れています。だからリスクを取って稼ぎたい。ここまでは正しい。
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稼ぐための手段として本当に適切か?
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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