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フワちゃん炎上から「義務教育の敗北」を感じる東大生。ネット民が『羅生門』から学ぶべきこと

 みなさんは『羅生門』という小説を知っていますか? 芥川龍之介が1915年に発表した短編小説で、人間が生きることと悪に堕ちるまでのあっけなさを描いた名作です。  おそらく、中学生か高校生のころに、この小説に触れた方が多いのではないでしょうか。私は中学生のころにこの作品を読んだ覚えがあります。現在でも、高校一年生の教科書に載るなど、幅広い世代から指示を受ける本作ですが、この作品から読み取れる教訓を覚えている方はいらっしゃるでしょうか。

炎上に加担する人は『羅生門』を読んでない?

問題になったフワちゃんの引用リポスト(現在は削除済み)

 先日、タレントのフワちゃんが、Xで大炎上しました。お笑い芸人のやす子氏のポストに対して、暴言を吐き、それが炎上。ポストにはやす子さんの存在を否定するような内容が綴られていました。当該ポストはすぐに削除されていますが、ネットを騒がせ続けています。  ネットの意見は、暴言を吐いたフワちゃんをたたく意見がほとんど。不適切なふるまいをした芸能人やタレントが出るたびに思いますが、「悪いことをした人間は、正義の名のもとに叩いても構わない」と考えているかのようです。  ですが、このような態度を見ると、国語教員としての私は、「あぁ、みんな中高のころに受けた『羅生門』の授業で、きっと寝ていたんだろう」と思わされてしまうのです。本日は、『羅生門』から学べる現代人の危うさについてお伝えします。

あっけなく悪の道に堕ちる主人公

『羅生門』は、下人(使用人、奴隷のようなもの)が羅生門の下で雨宿りをしているシーンから始まります。彼は、つい先刻勤め先を首になったばかりで、ハローワークもない当時は、再就職先を探すのも非常に難しい。  そのため、「盗みをやって生きていくしかないかもしれない」と悩んでいました。とはいえ、善良な一市民としての暮らしを享受していた下人が、いきなり残忍な盗人になれるかといえば、それも厳しい。「盗みをやらなければ」「でも、それはちょっと……」と揺れ動いていました。  彼は、雨風をしのげる門の上で夜を過ごそうと、門内部にあがります。すると、そこには不気味な老婆が死体の髪の毛を抜いている。「何か悪いことをしている」と正義に駆られた下人は、老婆を押し倒して尋問します。  老婆の言い分は、こうでした。「自分だって悪いとは思う。だが、この死体は生前悪事を働いた悪人のものだ。悪いことをされても文句は言えない。それに、こうしないと自分は飢え死にする身なのだ」。  これを聞いた下人は、「それならば、自分が悪人である老婆から盗みを働いても、文句は言われないはずだ。それに、自分だってそうしないと、明日にも飢えて死んでしまう」と考え、老婆の持ち物をはぎ取り、夜の闇の中に消えていってしまいました。
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羅生門から読み取れる“善悪の移ろいやすさ”
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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