「汚染土の最終処分場は福島原発付近が合理的」原子力資料情報室共同代表・西尾漠氏
福島の放射能汚染土の最終処分場の有力候補地として南大隅町が浮上したのは、福島県双葉郡の3町に中間貯蔵施設候補地が環境省から提示された4日後のことだった。原子力資料情報室の西尾漠共同代表に聞いた。
「南の知床」とも呼ばれる自然豊かな大隅半島は、福島原発から1000kmを超える場所だ。
「そんな遠くまでなんでわざわざ船で運んでいくのか。原発事故で人が長い期間住めない所があるわけだから、そこを最終処分場にするほうが合理的だと思います。場所は福島第一原発のすぐ近くがいい」
埋設・管理については?
「廃棄物の詰まったドラム缶の周りをコンクリートで固めて土をかぶせ、約30年ひたすら放射能レベルが下がるのを待つ。『300年管理』すると言うけれど、管理主体の日本原燃そのものが残っているかどうかわかりません」
日本で原発が動き始めてからわずか46年、初の電力会社ができて126年にすぎない。さらに「300~1000mの地底に埋設、100万年管理」が必要とされる高レベル廃棄物の最終処分となると、想像を絶する歳月を伴う。
「今ある廃棄物については最大限の研究開発を続け、その成果を次世代に引き渡していくしかない。無謀な深地層処分をあきらめて、管理可能な貯蔵を続ける。六ヶ所の施設と同じように貯蔵し、30年たったら別の場所に順繰りに移していったっていいわけです。この順繰りであれば都会にだって置けるわけで、公平な負担になる」
【西尾 漠氏】
原子力資料情報室共同代表。『はんげんぱつ新聞』編集長。著書に『どうする? 放射能ごみ 実は暮らしに直結する恐怖』(緑風出版)など
取材・文/樫田秀樹 田中裕司 遠藤秀一
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