日本の“お宝”が大集結!金印、土偶5体…次に見られるのは10年以上先!?【日本国宝展】
「日本国宝展」で展示される。非常に知名度が高いこの金印だが、実物を見たことがある人は意外と少ないのではないだろうか。
この展覧会には全国各地から約120件の国宝が勢ぞろい。「国宝」とは、重要文化財の中でも世界文化の見地から価値が高く、「類いない国民の宝」と認められる文化財を国(文部科学大臣)が指定したもの。現在1092件で、そのうちの1割以上が集結するというわけだ。
縄文時代につくられた、国宝の土偶全5体も11月21日~12月7日に出そろう。全期間展示の「縄文のビーナス」(紀元前3000~前2000年・長野県茅野市棚畑遺跡出土)や「合掌土偶」(紀元前2000~前1000年・青森県八戸市風張1遺跡出土)などに加えて、今年8月に指定された最新の国宝「仮面の女神」(紀元前2000~前1000年・茅野市中ッ原遺跡出土)が登場する。11月21~30日の9日間(25日は休館日)は、これらの土偶5体と金印が同時に見られる特別な期間だ。
(※金印、土偶その他の写真:http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1648#top)
今回の展示は「祈り」がテーマ。日本の文化財の多くは、仏や神への信仰を背景として作られた。その「祈り、信じる力」が優れた作品を生み出し続けてきたのだ。ただの文化財の展示ではなく、長年信仰されてきた対象としての荘厳さに思わず引き込まれてしまう。
ところで、どうして金印や土偶は展覧会の最初(10月15日)から揃わなかったのだろうか。「日本国宝展」担当研究員の伊藤信二氏(東京国立博物館広報室長)はこう語る。
「金印も土偶もその他の国宝も、地域の文化財の代表として大切にされているものであり、その地域での公開も重要です。今回展示される作品はすべて、展覧会の趣旨にご理解と賛同をいただき、スケジュール調整のうえ出品をご了解いただいたもの。そのため、全期間の展示ができない作品もあるということです」
例えば5体の土偶は、普段はそれぞれ別々の博物館で展示されている。その忙しいスケジュールをやりくりして駆けつけてくれるというわけだ。そのほか、興福寺(奈良県)所蔵の多聞天立像や有志八幡講(和歌山県)所蔵の阿弥陀聖衆来迎図(ともに11月11~12月7日)など、金印や土偶以外にも期間限定の作品が。
日本の“お宝”大集結ともいえる東京国立博物館での「日本国宝展」は今回で4回目。この先、これだけの作品を一度に見られるのはいつになるのだろうか?
「これはなんとも答えようがありません……。ちなみに第3回は14年前(2000年)、第2回はその10年前(1990年)、さらに第1回はその30年前(1960年)ということで、そうそう頻繁に開催できるものではないと思います」(伊藤広報室長)
つまり、最低でも今後10年は見られないということなのだろう。
この貴重な機会に、我々の先祖たちが「祈り」を込めて作った作品の数々に触れてみてはいかがだろうか。もちろん一度行った人も、再度行く価値あり!
【日本国宝展】12月7日(日)まで、東京国立博物館(東京都台東区)の平成館で開催中。開館時間9:30~17:00(会期中の金曜日は20時まで。土、日、祝・休日は18時まで開館)。休館日は月曜日(ただし11月24日は開館、11月25日は休館)。観覧料(当日)は一般1600円、大学生1200円、高校生900円。詳細は公式サイト(http://kokuhou2014.jp)にて。
取材・文/北村土龍 写真/山内千代
日本で最もポピュラーな国宝といえば、志賀島(福岡市)で発見された「金印」だろう。1世紀(弥生時代)に中国・後漢王朝の皇帝から倭(わ)の奴国(なこく)王に与えられたと伝えられる、「漢委奴國王」(かんのわのなのこくおう)と刻まれた金のハンコだ。その実物が11月18~30日の12日間、東京国立博物館で開催中の
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